2010年9月30日木曜日

第7回 質的研究集中ワークショップ アンケート(質的)

 全体が緩やかにまとまっている感じで非常に居心地がよかったです。何より楽しかったのが自分の専門領域を離れ、知的好奇心旺盛かつ世のしがらみや利害関係に縛られることのない方々とともに時を過ごせたことです。
 参加前は9時から5時まで4日間の長丁場を乗り切れるか非常に不安でしたが、始まってみると時の経つのを忘れるほど集中している自分がいて、密度の濃い4日間でした。グループも様々な個性を持った方が、それぞれの役割を上手く果たしていて作業がスムーズに進んだと思います。どのような基準でグループを決められたのか興味津々です。(2名の方が前半2日しか参加できなかったのは残念でした)。
 今回特に学べてよかったと思うことは2点。一つは少数のケーススタディーから得られた結果を文章で記述するのではなく図式化することでより説得力を持った研究に昇華させる手法を学べたことです。もう一つは、インタビューの時に気持ちよく話してもらうにはどうすればいいか、改めて考える機会を得たことです。自分以外の人のインタビューでの受け答えを聞いて、日本語は相づちによって構成される「共話」の言語であることと、傾聴する態度が如何に重要なものか再認識しました。ワークショップは非常に満足のいくもので、できれば次回も参加させていただきたいと思う次第です。
 ただ唯一の心残りは、概念図を作ることに時間がかかり、結果と考察の表し方を詳しくお聞きすることができなかったことです。 考察の記述の仕方の具体例を最終日にいただいたのですが、最終日のプレゼンテーションに向けて、結果から考察を導く段階で、全体の意見を総括して、「文章化」するのに非常に手間取りました。時間がかかった理由を考えてみるに、普段経験している発表と比して「結果」と「考察」の提示の仕方が違ったことにあったように思います。私自身が勉強不足であったということは否めませんが、個人的にはこの辺りもう少しお聞きしたかったです。 [大学非常勤講師]



 専門領域、関心領域、社会的立場が違う方々とチームを組み一つのリサーチクエスチョンのもと研究をするという形ははじめてで、最初は本当に可能だろうか、自分の興味を持ち続けながら4日間リサーチできるだろうか、と不安でした。しかしメンバーの関心の共通部分がうまくRQになり、皆が積極的に作業に取り組めたと思います。RQの選定、インタビュー項目の洗練、インタビュー実施、そして理論化に至るまで、要所要所で西條先生の講義と解説があり、理論化へ向かう作業がグループのペースで行われとてもやりやすかったです。グループ内の思考に限界を感じているときや、方向がズレそうなときは、その都度西條先生の修正のご意見があり、それがガイドになり、最 終日の理論化まで行き着くことができました。

 私は日頃、パソコンでの作業やネットでの通信で仕事をすることが多いので、その知識をいかしITリーダーとして動くことができました。4日間みっちりグループで作業を行うと、それぞれの得意な部分(知識、思考、技術)や個性が自然に出てきて、研究の過程で生かされていました。それが「グループの能力」あるいは「グループの現実的制約」となり、研究の成果にも左右してくるのだなと感じました。だから、もし、グープに別の人がいたり、いなかったりすると、結果も少し違ってくるかもしれないとも思いました。

 4日間のプログラムを全て終えて、この研究をもっと深めたいな、というのがグループ全員の意見でした。とても充実していました。 [大学講師]


 このようなワークショップのように、参加者全員に学ぶ動機づけがされている場合、こんなにもティーム学習が効果的になされるということを、今回参加して強く感じました。授業などでティーム学習(協調学習)を導入すると、あまりうまく機能しないことが時にあります。講師の方は、学習者との距離を非常に近くとり、情熱を持って、指導されていたと思います。今回は質的研究のデータが、インタビューでした。心理学の分野ですと、インタビューの分析が主となるのでしょうが、例えば授業など、インタビュー以外のデータを用いて分析をしてみたいと興味を持ちました。[大学非常勤講師]


 先生の穏やかな雰囲気と一人ひとり、丁寧にご指導される講義スタイルのおかげで、受講生は楽しく、ゆったりとした環境の中、グループワークをおこなうことができました。また、軸となる要点を分かりやすく説明したあと、先生自身は多くを語らず、疑問に答えながら進行し、受講生が主体的に学べる環境としてくださったことで、研究の楽しさを学ぶことができたと思います。
 研究の方法論の理解は深まりましたが、質的な分析や概念、モデル図は、習得できたとは言い難く、実際に自分でおこなってみなければならないと思っています。
 質的研究に興味のあること以外、共通点の少ない多種多様な職種のグループ構成であり、戸惑いもありました。しかし、さまざまな角度からディスカッションができ、有意義な時間を過ごすことができました。実際の目的とは異なりますが、素敵な方々との出会いと過ごした貴重な時間は、私にとって何よりの宝となりました。
良かったこととして、先生の穏やかで丁寧な講義スタイルは、自分の講義の参考となり、楽しい柔軟性のある講義を意識するようになりました。また、研究とは楽しいものであること、楽しくなければ続かないなど初歩的なことですが、あらためて考えることができました。ありがとうございました。 [看護教員]


 4日間、とても楽しく勉強することができました。本当にありがとうございます。西條先生の独特な雰囲気に加え、参加者の方達のやる気と集中力には感動しました。本を読んで分かるところと、そうではないところがやはりあるなあというのが、今回のワークショップに参加して本当によかったと思う理由です。例えば、理論を作る時に概念をどれくらいの抽象度で作ればいいのかとか、考察の時にはどの程度まで飛躍?させてもいいのかなど、先生とともに検討していくという形式はとてもためになりました。
 今までは文献研究ばかりで質的研究(量的な研究も)したことがなかったので少し不安もありましたが、質的な研究のおもしろさと、案外自分には向いているのではないかという実感が得られたことは大きかったです。また、いろいろな分野の方とも違和感なくコラボできるところがこの研究のメリットだということもよく分かりました。
[准教授]


 今回、初めて質的研究のワークショップに参加しました。西條先生の暖かな人柄と言葉が、参加している皆さんに伝わり、とても楽しく、このような幸せな場にいていいのだろうか?と思う位の4日間でした。ありがとうございました。
 RQの立案では、ブレーンストーミングで、皆が色々なRQを考えて定めていくこと。インタビューもRQに照らし合わせて質問項目を考え、実施するということを学びました。理論については、頭の中に漠然としていたものを図式化することにより、より明確になることが判りました。また、グループの皆さんが、和気あいあいとした中でも、とても研究に慣れていて、すらすらと結果、考察を記載していくことに驚きました。西條先生はそれ以上に、ユニークなアドバイスをして下さったり、的確な内容に修正して下さったりと、すごいなあと思い、尊敬の念を抱いていました。
 西條先生の質的ワークショップは、解りやすく、効果的で“目から鱗が落ちる”ようでした。それから、様々な職種の方とお話しすることにより、別の視点や人間同士のつながりを感じました。今回のワークショップで学んでことを私自身の質的研究の卒論に向けて、生かしていこうと思っています。西條先生ありがとうございました。 [大学院修士課程]


 書籍を読んで学ぶのとは異なり、作業を行いながら実感を伴った方法で学ぶことができました。また、グループ分けした際に、講師の先生がそれぞれのグループにしっかりと時間をかけてアドバイスをされていたのはとても好感を持ちました。基本的には少人数(7~8人)のグループでの作業が中心ですから、構成員同士の距離が近い分、とても良い雰囲気でした。お互いの近況を言いながら雑談を交えた、とてもリラックスしていました。 [教員]


 グループのメンバーにも恵まれ楽しく学びを共有することができたと思います。多様な方と今回出会えたことは、WSで得られたことのひとつです。短い時間の中でRQ設定から理論構築まで持っていけるということを体験できたことで、今後自分自身で研究を進めることへの希望を持つことができました。また、意識的にRQに立ち戻りRQを吟味しながら各過程を進めていくということは基本的なことのようで、やっている途中で自分の思いが募り首尾一貫しなくなってしまいがちな私自身の傾向を修正することに大いに役立ちました。今週末(明後日3月7日です)に行われる地方学会のPPT作成においても、目的の修正や(今回の結果からは目的が大きすぎるな・・・など)、また考察についてもRQに立ち返りながら進めることができさっそく今回のWSでの学びを活かすことができました(笑)。 [厚生労働技官]


 終始和やかな雰囲気なかで和気藹藹と楽しく取り組むことができました。
 特に印象深かった経験は、「従来の方法と比較すればこのようにした方が方法として機能的である」という研究エッセンスがどういったものなのかを身をもって学べたことです。私たちのグループは、最後まで、非機能的方法を採用し続け、ワークの中で終始トライ&エラー(エラー&エラー?)を繰り返しながら、悪戦苦闘していました(笑)。このような失敗体験を伴いながらも、最後までグループメンバーと一緒に楽しく学べたのも、このワークショップにながれるアットホームな雰囲気だからこそできたことであると感じられています。
 失敗したからこそ、身につくものも数多くありました。また、こうした失敗体験は、以後の自身の研究やこれからの研究の支援・指導においても大いに活用されることと思います。そのような意味で、今後、自ら研究を進めていく上での「原理」のようなものを今回のワークショップでは身につけることができた
のではないかと感じられています。

 また、気楽に話をしながら、気兼ねなく一緒に研究をしようと誘いあえる仲間をつくることができたことも今回のワークショップの大きな収穫です。ワークショップ後においても、私たちのグループでは、「春のスッポンプロジェクト」や「共同研究やってみる?プロジェクト」といった活動をしていこうと、現在、ML上で楽しく交流をしています。アドバンス編に向けて共同発表できたら素晴らしいね、などといったやり取りもしています。これまでさまざまなワークショップに参加してきましたが、質的研究の態度・方法のみならず、こうした素
晴らしい仲間をつくることができたのはこのワークショップだけです。何ものにもかえがたい収穫ではなかったのかなと思えています。また、こうした経験ができたのも、先生をはじめとして、このワークショップをともにつくりあげていこうと終始建設的で協力的な態度で取り組まれていたすべての参加者の方々の協力あってのものだったと思えています。今回のワークショップを通してこのような素晴らしい経験をさせていただきましたことを大変うれしく思っています。 [大学院生]

 年代も専門領域も異なった人と出会うことができ、いろいろな視点からの考え方を伺うことができ、多くの刺激を受けることができ充実したワークショップとなりました。
 内容は4日間でRQの設定からモデル作成、考察までを行うという非常にハードなものでしたが、グループメンバーの仲もよく、楽しく進めることができました。最終日に各グループのモデルの発表を聴いて、4日間のワークショップで予想以上の完成度の高いモデルが出来上がったことには、本当に驚きました。私自身はモデル図の作成は苦手なので、今回の演習でそのコツも勉強させて頂くことができました。 
 先生も飾らず、面白く、そして、それぞれのメンバーのよさを認め、引き出しながら、最後まで温かく指導をして下さいました。ありがとうございました。最終日に懇親会を企画して頂いたことも、グループメンバーのつながりを強めるきっかけやワークショップ中はお話しする機会がなかった方とも貴重なご縁を結ぶ機会となり、嬉しいことでした。資料等も丁寧に詳細に書かれておりましたので、非常に分かりやすかったです。) [ 講師  ]



 4日間という短い時間で、RQの立て方から、インタビュー、分析、発表と一連の過程が学べたことは、私にとって本当にありがたいことでした。まず、「基本的に自分で考えられるようになる」という先生のメッセージは、まさに私のための言葉だと感じました。看護の現場から大学の教員となって5年、どうしても自分の研究に自信が持てず、日々、上司の指導に振りまわされているという感じが強く、研究自体に苦痛を感じていました。「基本的に自分で考えられるようになる」あたりまえのことですが、自分にはその視点が不足していた思い、まずは目から鱗でした。(気持ちも楽になりました)
 RQでの学びは、今まで「何のために」という部分があまり意識されていなかったため、視点がぼんやりしていたのだと感じました。また、今回新しい出来事(新型インフルエンザ)を取り入れたRQで行いましたが、混沌としたものが理論生成によって見えてきた感じが実感できました。
 そして、よく量を研究している人から一般化について疑問を投げられたりしていたのですが、「1つの現象を説明できるところに意義がある」という考え方に納得しました。また、早い段階で理論を立て、分析シートを用いながら概念を整理していくやり方は、研究のモチベーションが高く維持できるようにも感じました。いつも、データにおぼれ、多大の時間を費やしますが、概念間の関係を考える頃には疲れ果てていた自分がいつもいたからです。
 そして、様々な背景の方々と共に研究することで、それぞれの持ち味をいかしながら楽しく取り組めたことが今回の研修で最大の利益でした。言語の専門療域の方の語彙の豊かさに感激したり・・多分、進むべき方向がしっかりと提示され、適度にアドバイスを受けながらワークを行えたことが、メンバーのモチベーションを高めグループワークを成功させたのではないかと感じます。どんな概念が生成できるかワクワク感をもって参加でき、お互いの力を出し合うといった楽しさも味わいました。大学でも共同研究は行っていますが、いきいきと研究に参加できたのは久しぶりのことでした。その感覚は今後も覚えておきたいと思っています。) [大学講師]




 参加する前はとりあえず4日間頑張ってみよう思っていましたが、楽しく考えるうちにあっという間に終わってしまい、夢のように過ぎ去った4日間となりました。日頃の変な疲れが吹き飛びました。確かに、時々疲れを感じましたが、当初から講師の先生より、かなり密度の濃い4日間になるという説明を受けていましたので、心地よい疲労感をもつことができました。
 普段は利害関係が無く、研究に関心をもっておられる方々と出会えてとても有意義でした。特に、看護職としては、これまでの実践のなかで、医師の考え方がよく理解できないことがありましたが、医療とは違う世界での話し合いの機会を通じて、医師の思考の特徴が少し分かったような気がします。学校の勉強を、「よく勉強する」ということは、学習したことを絶対的に信じられるぐらい身につけること、そして素直に納得できる現象に関心をもつような人になっていくのか、その辺に新たな関心をもちました。
 質的研究を学ぶ機会というと、少ない時間で講義形式をとりがちかもしれませんが、やってみないと分からない部分が多いということを、講師の先生が身をもって教えてくださり、ワークショップの形式をとるのは理にかなった方法であると実感しました。内容的には、講義形式よりも多くのことを学んだと思います。まだ不消化の部分もあるので、違う機会に違うメンバーとグループワークを行う機会を定期的にもちたいとも思います。
 講師の先生は、とても良心的で、静かで強い熱意をもって教えて下さったり、出来るだけ参加者と行動を共にする機会をもたれ、人間的な力をお持ちだと感じました。そのような方と接する機会を持てたことで、自分自身のこれからの学び方だけでなく生き方についても考える機会を持てて、とても有意義でした。[ 助教  ]


 自分の班のメンバーも他の班の方々も「学ぶ」ことへの関心が非常に高いと感じました。しかし、真面目過ぎず(?)、にぎやかに笑い声が飛び交ったりしながら、時に活発な意見交換が行われている声も聞こえてきました。「質的研究とは何か」を事前に読み込むことによって、学びたいことの目標、目的の共有が出来ていたという印象を受けました。

ワークショップの形式や内容
 質的研究(M-GTA、構造構成主義)の、RQを立てることから、理論を作り考察し発表まで一連を経験できたことは、次に自分で実際に研究に取り組む際に活かせると思いましたが、初学者にとっては、じっくりと自分自身の中で消化しながら進めていくまでの時間のゆとり、余裕はなかったので、自分で研究を進める際には、もう一度プロセスを振り返りながら取り組んでいきたいと思います。

グループワーク
過去にワークショップに参加された方、質的研究で研究をまとめられた経験のある方々がメンバーにいらっしゃり、先導を切っていただけてありがたかったです。しかし時に、「とりあえず」が上手くいっていなかったように感じ、長時間にわたって一部分へのこだわりから、進行が滞ってしまったことは反省点です。

参加者
前述のとおり熱心な方が多いです。また、日本において看護の領域では「学問」「研究」と大きく騒がれるようになったのが、この十数年ですので、明らかに他の領域の方々と、まずは「土俵が違う」ことを改めて感じました。他の領域の院生の方との交流やインタビューを通じて、やはり基礎教育の段階から違っているのだなと実感しました。

講師の教え方
全体への講義形式は少なかったですが、日常の具体例なども混じえながらの概説は、自分自身の頭の中にイメージを描きやすいので非常にわかりやすかったです。グループワークでは、「ん~。。。」と少し悩まれてから、「ん~、これはこっち、かな。うん。これなんかもいい。これもおもしろい。」というふうにご指導いただくことが何度かあったように思うのですが、先生がそう判断された理由のようなものをもう少し共有して理解できるようになりたいと思いました。

特に印象深いこと、学べてよかったこと
普段、お互いを罵倒して批判しながら進めるゼミに参加しているので、「建設的な議論があたりまえに出来るグループワーク」に嬉しさと喜びを感じました。まだ何となくコツがわかったつもりにある段階ですので、今後も継続的にワークショップ等に参加させていただき、自分の中で確実なものにしていきたいと思っています。 [大学院生]



グループ成員にめぐまれたので、ワークショップ全体はとても有意義でした。研究バックグラウンドも質的分析の経験も多様だったので、多面的な側面から検討する視点を学ぶことができたと思います。特に発言をふらなくても全員が自然に発話できていたと思います。今後も情報交換も含めた交流ができそうで楽しみです。また、講師の教え方ですか…ゆるく見えるところが有機的だなと思いました。[講師]



MGTAを使っておこなう論文作成の手順をほぼすべて網羅した形で体験でき、非常に有意義であった。参加者の年齢も比較的高く、落ち着いた雰囲気の中で各自の持ち味が生かされたグループワークができたと思う。構造構成主義については相当理解を深める必要があるとわかったが、具体的に研究を進める手がかりはつかめた感じがする。
西條先生のかかわり方は非常にていねいで、わかりやすかった。「研究結果を示したい人」を意識して研究をおこなうという感覚は当たり前のことであるが忘れられていることが多く、考えさせられた。 [大学院M2]



・ 1日目、1番に到着したのですが、西條先生がみんなのお茶の用意をされていたのに、飾らない人柄だと感激しました。先生の雰囲気が端を発し、全体にそれが行きわたり、柔らかい過ごしやすい場所になっていたように感じました。また、私にとっては、関西大学という場所が、知っている中で学生をするなら理想的なキャンパスであり、うらやましい学生街なので、その印象のよさもプラスされていると思います。

・ワークショップの形式や内容については、最後の発表の直前は、「スピードが早い。時間がない」と思っていました。しかし、振り返ってみると、形式と内容はたぶん先生の経験から練られたものであり、RQを立てるところなど時間をかけじっくりやるところにはきちんとかけてあり、階段はきちんと1段目から間違いなく固められていました。本よりさらにかゆい所に手が届くように、言い換えれば惜しげもなく先生の考え方の軌跡や手の内をレジュメやお話で見せてくださり、満足できる形式と内容でした。

・グループワークについては、メンバーが今まで、グループワークを進めるほうとしても、参加するほうとしても経験していて、それがいいように活かされていたと思います。また、全体の柔らかい雰囲気が、班にも作用していたと思います。反対意見も受け入れる土壌があったし、タイムリミットがある中、どう前向きに取り組んでいくかという姿勢が班の全員に見られました。私としては、ここの班でほんとうによかったという気持ちです。
・参加者は、全員このワークショップが受けたくて参加している人たちなので、皆さんの中でいい気持ちで過ごせました。初めはアシスタントの田村さんだけがお湯をポットに入れてくださっていましたが、後半になると、気がついた人がさりげなくお湯を汲みに行っていました。
・講師の教え方については、よく理解できるように教えていただきました。西條先生は頭のいい人なのに、どうしてわからない人のわからないところをきちんと網羅するように教えられるのか、ありがたく不思議に思いました。得てして、天才肌だとできない人のできない個所は分からないと思うので。例えば長嶋茂雄さんがすばらしい監督ではあり得なかった(あくまで個人的な意見ですが)ように。
・とくに印象深いことについては、時間と借りる場所の関係だと思いますが、3日目の夕方はレストランでワークが続けられました。やむを得ない選択だったのかもしれませんが、それが、逆に班の仲間との距離を縮めて良い作用をしたように思いました。
また、私は社会人大学院生は学生として生活できないから働く、という風にインタビューする前は無意識に考えていましたが、仕事が土台と2人のインタビュイーがおっしゃっていて、決めつけてインタビューに入ってはいけないと思ったのが印象深かったです。
・特に学べてよかったことについては、先生が伝えたかったこととおっしゃったことです。確実に私に伝わりました。自分で考えるための原理を学びました。先生に聞けば答えがもらえるわけではないのです。何のための理論か、誰のための理論か。RQに照らして考えるということです。2日目が終わったのが日曜日で、次の日の月曜日に大学院のゼミに出ました。ずいぶんと頭が冴えていて、RQについて素敵な意見を述べたように思います。ゼミの先生の雰囲気から感じました。脳がしっかり働いた2日間を過ごした後だったからでしょう。
 また、考察の書き方もとても参考になりました。先生に目の前で説明し、直していただいていると、どういう風に書き方が悪かったのか悪かったところがはっきりして、すぐ次に活かせます。先生が言葉で、7~8割がたの人が考察のところで、また、結果の説明をしていることが多い、と言われ、心に銘じるきっかけになりました。 [臨床心理士]


 西條先生の「ゆるさ」が指導者として、とても興味深かったです。著作で拝見する限り、「アツい」男に違いないと思っていました。また、ファシリテーターや講師は大抵とても元気で、引っ張っていってくれる元気な印象を持つ人が多いのですが、こんなに朝から先生のテンションが低いと、受講者が勝手に動いて行くんだと知りました。
 かといって、丁寧に責任ある指導を各班にして下さり、これまた驚きました。こりゃ廃人になるわ…。最後まで掴めない、とても魅力ある先生でした。
 理論も方法論もきちんと指導できる素晴らしいお力をお持ちです。特に、方法をきちんと指導するこのWSを実施することは、尊い仕事だと心から思います。どんな研究者でも、研究方法をきちんと指導してもらえる機会を得る
ことはあまりないことです。
 私は中学で国語科の教員をしており、生徒にレポートや論文、エッセイを書かせる分野が得意です。国語科なんて、なんにも役に立たないと昔は思っていました。しかし、言語力を鍛えることによって、多くの生徒は変わってい
きます。 
 このWSを通じて、自分の仕事や関心(国語科で平和教育をいかに推進する
かが私のテーマです)に自信が持てるようになりました。私は230人の生徒のレポートを指導するのですが、リサーチデザインから成果と課題まで面倒
をみると「廃人」になります。先生の4日間がどれだけ大変か、よくわかります。でも、メタレベルで物事を見渡す構造構成主義の今後の発展も含めて、自分が研究や実践をしている意義もわかったような気がしました。
とても勉強になりました。ありがとうございました。 [論文指導主任]


 
 質的研究法の一つとして同ゼミ生に紹介され、アドバンス編に参加したことがきっかけで、ベーシックを受講した。  
 SCQRMが何たるかを知らずアドバンス編を受講した後、西條先生の著書を乱読し、【関心相関的】ということが非常にしっくりと馴染んだのである。それは、日々の暮らしの中でも関心相関的にという感覚が自分の中に存在していたからである。どんな現象も、原理原則は同じではないかという感覚を持っており、だからといってそれを自分の言葉できちんと説明しろと言われると、とても困るのであるが、関心相関が身体感覚として存在しているのだから、それ以上の説明のしようがないというのが現状である。この感覚は、ワークを通じてより鮮明に「同じ」だという確信を強めていくことになった。
 『正しく、こうあらねばならない』という選択肢が一つしか与えられない狭小な枠組みで発想するのではなく、【関心】はいくつもいかようにも人の数だけ存在するものであり、同じ関心であったとしても、100%合致することはあり得ないのであるから、先生の言う「より上手にそれを実現する方法はないかな」「より機能的な方法はないかな」と考えるという考え方に共鳴している。
 このワークショップでは、【関心】という自分自身の“問いという種”を大きな幹にするために、その関心に【応じて】機能的に発展的に創造的に取り組む手法の一つだということを、作業を通してより実感することができた。それは“問い”に徹底的に添うという行為を通して実感するものであり、常に“問い”に戻るという繰り返しの中で、【関心】がどこにあるのか、何のためにするのか、何をしようとしているのかどこに向かおうとしているのかということを確認する作業の連続であった。
 バネのように伸びては縮み、そしてまた伸びる様のようである。伸縮を繰り返して“問い”に何度も触れるうち、問いが染め物のように自身の体に染み込み、何のために何を明らかにしたいのかが、常に私の中に存在するようになってきた。RQを紙に書いて、常時目に入るようにするという原始的で地味な方法(基本)に忠実に従った結果である。馬鹿に出来ない。何事も基本に忠実であること、模倣することが最短で最善の結果を得ることなのかもしれない。基礎の出来上がっていない家は建設できないのと同じで、問いが明確でない研究は結果が得られないということであ
る。だからこそ具体的で明確なRQが重要であることを、徹底した前半のワークで叩き込まれた。
 頭で理解できることと、実際にできることは別物だということを日常の中で経験しているが、このワークも全く同じ原理で、テキストを読んで理解できることは、必ずしもワークとして簡単にできるものではなかった。だからこそ、学ぶのだということを学ぶ時間でもあった。一人では成し得ず足踏みすることも、グループワークだったからこそ理解を深めたり促進させる力を得ることもできた。グループで作業を進めることは、班員の最初の互いの印象や雰囲気で、概ね所属する班の「場」を良にも悪にも形成し規定するというリスクを抱える可能性を内包しているものであるが、
 所属した班は、班員が常に「I am OK. You are OK」の態度と気遣いのもとに作業を進め、「場」は概ね“良”を形成し、心地よくそして楽しく作業を進めることができたように思う。何故、心地よく楽しく進められたのかを振り返ると、次の2点に集約されるように思う。一つは、何故そのように考えるのか、思うのかという根拠と共に意見を述べていたからということ、二つに、述べられた意見の根拠を再度確認した上で、自分の意見を根拠と共に示すということを繰り返していたからではないか。最初、私自身は意識していなかったが、よくよく班員の意見を聞いていると、根拠を示していることに気づいたのである。この根拠が身体感覚(思考や志向、価値観や認識・捉え方、伝え方や態度など)であり、それを言語・非言語で意識的か無意識的かわからないが表現されていた。根拠を示すことは、互いを理解することにとても友好&有効に機能したと思う。
 オリエンテーションで、ワークショップの原則(各日の最初に確認する)と質的研究を進める上でのポイントとして示されたもの全てが、作業過程の折々で意識されることになり、研究活動だけでなく、日常生活全般で役に立ち活用できる原理原則であることを学んだ。互いが違うからこそこの原理原則が必要であり、また活きてくるのだろう。相手の持っている感覚とすり合わせ、折り合わせる力を自分自身に要求された時間である。
 以上のように、質的研究法のワークショップでありながら、実に様々なことを実感したり学ぶワークショップであった。正しいかどうかは議論せず、有効かどうかを考える。ベストではなくベターを考える。とりあえずの鉄則。常に目的を意識し、持論に固執しない。これは、人生の羅針盤かもしれないな~。とそんな風に改めて思う。
 最後に、私があまり苦しむことなく心地よく楽しく参加できたのは、3日目の理論生成過程に参加していなかったからかも・・・しれない。しかし、テキストを片手に3日目の始まる明け方まで、自宅で一人、モデルと格闘したのです。途中で投げ出したくなるほど、苦しかった。モヤ~と頭の中でイメージしているものをとにかく表現できるまでは、何が何でも止めないと決めてかかり、自分なりに善処したと納得している次第です。 [社会人大学院生M1]



 これから始まる修士論文での研究に向け、特に分析方法について、体験を通して学びたいと思い参加しました。実際に体験をし、研究をする上で大切な点や各過程でのポイントとなる点などを学ぶことができ、大変勉強になりました。特に、リサーチクエスチョンの立て方、常にリサーチクエスチョンに照らし合わせること、理論図を作る時は「誰にどのように役立ててもらうのか」ということを意識しながら考えることなどが印象に残っていて、今後研究を進める上で大変役に立つと思います。
 しかしながら、研究方法を体得したいという思いで参加しましたが、一番の収穫は方法よりも方法を支える認識論についての重要性について意識するようになった点ではないかと考えます。以前何かの本で、研究はその人の研究観や認識論とは切り離して考えられない、というようなことを読んだことがありますが、その時は、「そういう難しいことは私には分からないし・・・。とりあえず方法を学んでみたい」と思っていたのですが、その方法を採るという時点でその人の考えが反映されているということに気づきました(考えてみれば、当たり前のことなのですが)。
 きっと、研究というのが難しいというイメージが強すぎて、私には無理と思っていたのかもしれません。ワークショップの前半が終わり、改めて「ライブ講義質的研究とは何か」のアドバンス編を読み直したところ、それまで何度か読んでも全くと言って頭に入ってこなかった(すみません)ことが、おもしろいように理解でき、それがきっかけで、構造構成主義について深く知りたいと思い、何冊か本を読み、方法だけでなく、認識の部分にも意識することの重要性がより感じられたように思います。実際に体験したグループワークも愉しく、達成感や充実感も得ることができ、自分にとって研究というものがとても身近なものに感じられるようになったワークショップだったと思います。 [学生・日本語教師]




 全体の印象や雰囲気・・・みな目的を持って来ているので全体の印象は良かったと思います。グラウンドルールがあることも影響しているように思います。また、導く人の大切にしているものを時間のなかで受講者は感じとるものだと思いますので(グループの成長もあると思いますが)日を追うごとに和やかに穏やかになっていったように感じました。
 ワークショップの形式や内容・・・ひととおり、質的研究の流れを体験できるというのはすごいと思います。満足しています。自分で考える、動くことが大切なのだと思いました。指定のテキストは正月に読んできたはずなのに忘れている部分がたくさんあったり、実際にやってみないとつかめないものがつかめたりしました。
 グループワーク・・・どちらかというと人見知りするし緊張するタイプなので1日目は人疲れがひどかったです。その日は左足ふくらはぎがつってしまい、2日目はしんどいなと思った。(実際はそうでもなかった。)後で他のメンバーに聞くといつもはけんけんごうごうとゼミをしているからすごく建設的に話し合えてよかった、と話す人もいたりして人それぞれだと思いました。
 私のグループは院生の方もいらしたので、その人たちは言いたいこと言っているかなあとか考えてたら自分が一番言えなくなってました。先生が入ってくださるとグループの空気もやわらかくなり軌道修正をしていけたのでよかった。基本的にみな優しく面白い人ばかりでいろいろ助けてもらいました。
 参加者・・・私のグループに何だか何でも持っている人がいて、え?不思議!!と思ったが、その人はみんなのために持ってきてくれたんだと考え直すとすごい人だと思った。カッター版とか、30センチ定規とかその他いろいろ揃っていた。インタビューに答えてくれた方は快く受けてくださってありがたかった。
 全体発表のときの「通勤枕」と概念を関西弁で表現したのはめちゃめちゃ素敵だと思った。すごく面白い。打ち上げのときにインタビューに協力してくださった方やいろんな方ともっと話したかった、そう思える方たちばかりだったように思います。
 講師の教え方・・・先生の教室全体を(けっこう細かいところまで?)把握して進めていくことがすごいと思った。全体とそのなかの関わりとを同時にしかも瞬時に判断する力というのでしょうか、うまく表現できませんが、みんなを見守っててくださっていて何かあったときに手を差し伸べてくれるんだと思うと安心できました。あとは、先生自身を以って教えていただくことが多く勉強になりました。目の前のことや研究、人に真摯に向き合う姿勢を教えていただきました。
 特に興味深いこと・・・先生のお話しはとても面白かったです。今思い出すのは中村えりことテニスの先輩の話です。シンクロニシティは興味深いです。私も人智の及ばぬものがあるように思います。
 特に学べてよかったこと・・・まずは質的研究法の一連の流れが学べて良かったです。マーカーの使い方もずっと知りたかったことなので嬉しかったです。あと、考察の書き方もお聞きできてよかったです。私自身の考察の甘さを以前から気にしていたので今回教えていただいたことは質に限らず役立ちそうです。学んだことを何かで早く活かしてみたい気持ちが出てきています。 [助教]



 ワークショップの時間は私にとってとても楽しいものでした。先生のご指導はもちろんですが、異業種の、しかも普通に勤めていては到底お目にかかれない方々とであることが出来、WSを通じてたくさんの刺激をいただきました。
 普段の左脳よりなロジカルシンキングでは出てこないこと、緩やかなあいまいさを許すからこそ見えてくること。いろいろな発見がありました。興味も方向性も異なるメンバーがひとつの課題を合意し、取り組み、支えあって成果を出す。「質的研究法の体得」という目的を同じくしているからこそ出来ることであり、先生のご指導のおかげだと思います。 [会社員 ]