2009年1月21日水曜日

質的研究集中ワークショップに関しまして

以下、質的研究集中ワークショップ受講ご希望の皆様へのご案内となります。

質的研究集中ワークショップ第五回九州開催につき ましては、残り数名のお席がご用意可能です。
ご参加希望の方は以下のフォーム に記入し、送信し、仮登録→本登録の順にお手続きをお願い致します。
http://server.net8.jp/auto-mail/12147/form.cgi

(自動返信メールにてその後の手続きなどの情報が送 られますため、スパム/迷惑メールボックスに自動的に振り分ける可能性がござ いますので、ご注意下さい。)

また、第6回以降参加希望者は以下のフォームに希 望地をご記入の上送信いただければ、日程が決まり次第優先的にお知らせさせて いただきます。
http://server.net8.jp/auto-mail/12147/form.cgi
(自動返信メールにてその後の手続きなどの情報が送 られますため、スパム/迷惑メールボックスに自動的に振り分ける可能性がござ いますので、ご注意下さい。)


〜質的研究集中ワークショップ・ベーシック編〜

◆講師 西條剛央

◆第五回:九州開催
日時:2009年,2月28(土)・3月1日(日)/3月7日(土)・8日 (日)(各日10時~18時40分)
場所:長崎大学医学部保健学科

※その他詳細はこちらよりご参照下さい。
http://tinyurl.com/a8sxcu



2009年1月18日日曜日

アドバンス質的研究ワークショップ(第一回)感想集


 質的研究集中ワークショップお受講者から多くの希望をいただいたため、ベーシック編ワークショップ(第1回〜3回)受講者を対象とした質的研究ワークショップ・アドバンス編(講師:西條剛央)が、12月13日(土)早稲田大学にて開催されました。


【企画趣旨】

 ワークショップのアドバンス編では質的研究力の向上を目的として,講師の指導のもと建設的な相互研鑽を行い,そのプロセスの中で説得的な研究論文にしていくための実践的なコツを身につけていきます。

 経験者なら誰でも経験していることですが,質的研究はいくつかの理由から多くの場合,的外れな指摘や無い物ねだりのような批判を受けたりと,建設的な研鑽の場になりにくいものです。しかし本WSでは最初の講義において「建設的にコメントする(受ける)ための方法」や「着実に技量をあげていくための認識態度」や「基本ルール」を共有した上で,建設的な相互研鑽の場にしていきます。

 研究発表は,研究テーマの設定,質問項目の洗練,概念名や理論図の洗練,論文の洗練といったのいずれの段階でも可能です。また研究発表はしないが研究実践力を養いたいという参加者も歓迎します。


【当日行われたワークショップの内容(概要)】

・当日の参加者は24名であり(うち研究発表者10名)、適宜休憩を挟みながら9時〜20時まで行われました。
・一つの研究発表セクションの時間は40〜50分でした。
・発表者には10分程度でご自分の研究を発表していただき、それに対して講師ならびに他の参加者が、その研究をより質の高いものにするためにコメントしていきました。
・また適宜講義を挟み、講師が一般的に気をつけた方がよいことや研究実践上のコツを伝えていきました。
・ワークショップの最後に質疑応答の時間が設けられ、参加者からの要望に答え、構造構成主義についての説明がありました。
・その後、懇親会が行われました(出席率95%)。



 以下にワークショップアドバンス編参加者の感想集を掲載させていただきます。ご多忙にもかかわらず感想を書いてくださった皆様に心より感謝申し上げます。




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 今回私はアドバンスの研修の紹介があったとき、出席するつもりも発表するつもりもなかった。それは自信をもって発表できる論文を持ち合わせていなかったからである。しかしながら、論文にしてはいないが学会発表で終止しているものがいくつかあったのも気にかかっていた。論文投稿は時間を要することを楯にして実は出す自信がなくそのままにしていたということである。

 しかし、いつかはこの突破口を抜けなければならないと決心し、今回のアドバンスで発表する決意をした。他の方々の発表も聞き、自分の発表からいえることはなんといってもリサーチクエスチョンありきということだ。その時点で洗練するか否かで内容の濃厚さが変わることを実感したといえる。

 今回私の場合はすでに終了し論文洗練の段階で発表をさせていただいた。他の発表を聞きながら自問自答していた。もう結果が出ているものに関してどうすればいいのか。

 そこにも突破口があった。

 それは、西條先生がいわれる「研究目的再設定法」という研究で得られた知見から逆算的に目的を再設定するといった方法で私の発表内容も実現の可能性が見出せたことである。他の方々も教育、保育、看護の現場の研究内容に聞き、意見交換する場は多様な考えから生み出ることも多く、内容も興味深かった。そして、文章や言葉での表現方法1つで理解しやすくなるものもあり文章や言葉の使い方も学習できた。さらにその内容について自分のことのように議論をしてくださった方々に深く感謝したい。

 発表などでは批判されることはままあっても褒められることは滅多にない。薄れかかっていた褒められるときの感情はとても心地よいものであった。

[大学教員]・[研究発表参加者]



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 今回、発表者として参加した。論文の洗練、特に考察の部分の洗練が目的だったので、どのように発表すれば考察に対する意見がもらえるのかが想像がつかなかったが、結果を示さないことには、考察も考えられないので、結局研究発表をすることにした。

 とても緊張したが、構造図のカテゴリーや凡例、表題、タイトル、対象者の示し方などの意見がもらえて、自分では考えも及ばないことばかりだったので、有意義なワークショップとなった。

 また、西條先生から、論文の添削(カテゴリーや図の表題、論文の句点や接続語から、1番の目的であった考察の部分)もしてもらえて、とても感激した。皆様からいただいた意見をもう1度よく考えてみて、論文を完成させたいと思った。

 他の発表者の方も、それぞれの考えがあって、とても面白く刺激になった。また、質問内容が言われてみればそうだと思うことが多くて、勉強になった。自分自身、何か違和感があってもそれが何なのか、それをはっきりと言葉にすることの難しさを感じた。また、最初の講義を聞いていたので、せっかく発言するなら建設的な意見を言いたいという気持ちになれた。


 研究法は手段なので、手順を忠実に踏むことに囚われるのでなく、目的にあった研究法を選択することと、手順を明らかにしていることが大切なことを改めて学んだ。それ以上に、研究対象者にどのように質問するか、それがRQの答えとなる質問になっているのかを洗練していくことの方に力を注いだ方がいいと感じた。

 質的研究の実践に関する学びだけでなく、これから先の研究活動全般に対しての姿勢や態度のあり方にまで影響を与えるワークショップだったと思う。

[大学院博士後期課程1年]・[研究発表参加者]



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発表者の研究の目的、リサーチクエスチョンや研究の現実的制約を配慮して、意見することの難しさ、また建設的な意見のやり取りの楽しさを感じることができたWSでした。

学会という緊張感漂う、重箱の隅をつつくようなやり取りはなく、アットホームだったのは、西條先生の少しルーズな雰囲気と、参加者の皆様が発表者に対して、一生懸命目的を達成することができるよう、考える努力をもち続けていたからだと思います。まさにワークショップ! 発表者、参加者で作り上げたものだったと思います。

10人の発表を聞くのは少し体力的にも疲れましたが、自分の取り組んでいる研究の不完全さ、不十分さにも気付くことができました。相手に伝わりやすいプレゼンの技法と、発表者と聴衆の相互作用のあり方が体感できてベーシック編に劣らない最高のWSでした。

一般参加者として、皆様の発表聞き、相手の関心や目的をくみ取り、意見する難しさを感じつつも、その場の雰囲気は聴衆と発表者のやりとり、相互作用で作り上げられていくこと、いかようにも変わることを体感したことが印象深かった。発表者も聴衆からの意見に対して、どのように返答すれば研究を発展させることにつながる意見がもらえるか、それも研究者自身の態度や姿勢があらわれるものだと思った。

人からの意見や質問、指摘はすべて自分自身の研究に投げかけられた「批判」として受け取ってしまうと、とかく返答は「言い訳」型になってしまう。こちらとしては言い訳を聞きたいわけではなくても、発表者はその「言い訳」を言い続けてるのを聞いていると、聴衆としては少し残念な気持ちにもなった。

意見してもらえることは「関心」を持ってもらえていること受け止められるような研究者になりたいと思いましたし、その頂いた意見や質問を発表者も建設的に捉えて、自分の研究に生かしていける返答や、雰囲気を作り出せるように成長していきたいと思いました。ある程度聴衆に自分をさらけ出すこと、そのさらけ出す度合いを駆け引きの中で、調整していくことの大切さを学びました。

[大学院博士後期課程]・[聴講参加者]



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 長時間にわたる「実践形式」のワークショップで、10の発表が行われました。このワークショップをトレーニングとして位置づけると、次のようなことが良かったと思います。

 まず、研究やそのプレゼンテーションにおける「重要なポイント」が繰り返し出てくることによる学習効果が高かったように思います。私は発表しませんでしたが、西條先生の教え通り「自分ならどうする?」と、問いかけをしながら、参加しました。

 次に、発表は「多様性」のひとこと。研究デザインの段階のものもあれば、完成されたものまで、さまざまですし、分野も看護系や福祉系や心理系など多岐に渡っていました。自分の領域ではないからこそ、より「関心相関的観点」を持ち、耳を傾け、コメントをする必要がありました。

 さらに、西條先生のコメントを聞き、その研究者としての態度に触れることで、研究者のモデルを得ることができたと思います。成長するためには「どんな研究者になりたいか」そのモデルが身近にいることが重要だと思います。

 それにしても、長い1日でした。ワークショップのオープニングで、西條先生から「自分の発表が終わっても腑抜けにならない」という話がありました。

 確かにそうです。研究という営みには「脳みそ」の持続力も重要だと思います。そこまで考えて、長時間のワークショップが組まれていたとしたら!まさしく「関心相関的選択」ワークショップではないでしょうか。

 最後に、頭は動かしていたのですが、もっと遠慮せずコメントすれば良かったと思いました。そして、やはり「聞くよりも発表だ」とも思います。次回はチャレンジしたいと思います。

 オープニングの講義から学んだことです。一番目のスライドは研究者としての「臨床的態度」(臨床心理学の分野では、セラピストとして求められる基本的な態度のことをいいます)の話だったと思いました。さらに、二番目のスライドは訓練の本質の話だったと思いました。ハウーツーではなく、このような話があったことが印象的でした。構造構成主義がバックグラウンドにあることの意味が感じられました。

 西條の先生のコメントの中で「うまく言えないときほど冗長になってしまうので、そういうときは思い切ってしゃべるのを止める」とか「モデル図はできるだけシンプルに。人は意味を読み取ろうとするから余分なものは入れない」というコメントが印象に残っています。とても新鮮ですよね。良い悪いという話に終わらないところが面白かったです。

学びとして大きなことは「リサーチクエスチョンをどう洗練するか」ということだったと思います。「どう絞るか」です。一方で「質問項目の作成」では「意外なものが出てくる面白さがあるから、絞り過ぎない」ということも学びました。また、関心のあるテーマや概念だからこそ、題名にも出てくるし、リサーチクエスチョンにも出てくるのだけれど、「場合によっては考察で触れるぐらいにしておく方がよい」というアドバイスも印象に残りました。研究者のリアリスティックな感覚って、こういうものだなと腑に落ちました。

[臨床心理センター]・[聴講参加者]



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 ベーシック編を終えた者同士、利害関係のない方たちばかりのなかで、発表者も聞く側も関心相関的な観点を確認しながら集中して進められ、とても気持ちの良い有意義な時間でした。

 最初に、WSの基本ルールについて講義してもらったことで、建設的なディスカッションの場をみんなで創っていくための臨み方を意識することができました。参加する皆でこの基本的なルールを確認し意識するという手順が、とても大切だった気がします。最初にルールを確認したりしますが、大学内での小さなゼミ発表のときなども、最初にその時間の目的や基本的なルールを確認できると、建設的なやり取りがしやすくなるだろうと思いました。
 
 私自身は発表者ではなかったので、建設的な聴き方、アドバイスを意識して実践しようと試みました。自分に使えることはないかという視点で、自分に役に立つことや面白いと思うことを発見するのは、比較的容易にできたように思います。これは、自分の関心にダイレクトに相関しているためでしょうか。

 しかし、発表者の関心にそってアドバイスするのは、私にとっては、かなり難しいものでした。自分の考えをとりあえず脇に置くということを意識してやってみようと思ったのですが、頭で理解していても実践するのは、う~ん、本当に難しい。西條さんや参加者の皆さんのコメントを聞きながら、感心するばかりでした。

 まず、RQや研究目的に書かれていることを頼りに、相手の関心は何なのか、どこにあるのかをわかろうとするのが大変で、そこを知るための質問をするだけで精一杯だったように思います。なので、その先の建設的なアドバイスまでは至りませんでした。

 特に、RQが定まっていないときなどは、どんな風に相手の関心のありかを探ったらよいのか、今でもよくわかりません。大学では、院生などが研究計画を立てている段階でアドバイスをするような機会もありますが、本人自身も自分の関心が良くわかっていないようなときには、どんな風にできるだろうか?というのが今後の私の課題です。

 このように、『関心相関的アドバイス』の難しさに直面するなかで、同時に、自分は大学院生のゼミの場や、学部学生の指導の場、患者さんへの対応場面で、相手とどんな風にやりとりしているだろうかと振り返っていました。私は相手のやりたいと思っていることをどれだけ考えることができていただろうかと考えてみると、普段の自分はそういうことにいかに無自覚のままアドバイスをしていたかということを思い知らされ、自分にがっかりしました。

 個人的なセンスの問題もあるのかもしれませんが、日々の生活のなかでも『関心相関的な観点』を意識して、成長したいものです。

 それにしても、親身になって聴くことは、とてもエネルギーを要することで、体調や気分も良くないと、すなわち自分の状態が整っていないと難しいのではないかと思いました。今回は10名?11名?(途中から何人目なのかわからなくなりました)の発表でしたが、最後の方は、気持ちはハイで頭はヘトヘト、というかなり変な状態になってしまい、私には限界でした。

 でも、本のどこかに「関心の強度」みたいなことが書いてあったことを今思い出しました。また、レクチャーのなかで、プレゼンの工夫として、「力点を置く」ことも教えていただきました。本来は相手の力点に合わせてこちらの力の入れ具合も調整すれば、あまり疲れなくて済んだのかもしれません。私はそれをなかなかキャッチできずに、どの方の発表も1から10まで全てを全力で聴こうとしていたのでグッタリきたのかもしれません。もっと効果的に聴く方法がありそうですね。

 ベーシック編のWSでは、普段意識していないことを意識して、日頃の自分自身のあり様についての内省が促進される体験をしましたが、今回も同様に、途中から内省モードに入ってしまいました(内省なので、自分にがっかりすることもありますが、今後自分はどうあったらよいかということも同時に考えさせてくれるとてもありがたい時間でした)。SCQRMは、どうやら内省装置の機能も持ち合わせているようです。ついつい自分を甘やかしがちの私にとっては、大変有用です(笑)。

 SCQRMにおいて自分の関心に応じて研究するわけですが、それが独りよがりな結果とならないためにも、他者と意見交換し精錬させていく作業もまた質的研究プロセスの一部として重要だと改めて思いました。しかし、建設的に議論するためのツールや術を持っていないと、不毛で無意味なやりとりに終わってしまい、質的研究をより良いものにするという目的からそれていってしまうのだなと思いました。

 そうならないためにも、関心相関的なアドバイスやプレゼンの技術はとても有用だと思いますが、頭で分かるだけではダメで、「身につく:身体化できる」ようにならないと実際には使えないことがよくわかりました。明日から修行します。

 それから、普段はお会いしないような方々と出会い、専門領域の垣根を越えて意見交換できることも、このWSの魅力になっていると思います。参加者の皆さんはエネルギーに満ちていて、どの研究もとても興味深く、刺激を受けました。私は、最近きちんと研究をしていないので、インプットばかりしてないで、そろそろ学んだことを生かして研究し、アウトプットしていかなくちゃいけないなと襟を正しました。新しい目標ができたという意味でも、西條さんと参加者のみなさまに感謝申し上げます。

[大学教員]・[聴講参加者]



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 発表者の研究の進度が多様だったことで、その時々で気をつけるポイントがわかりやすかったと思います。


■「概念図のまとめ方」

 抽象度を上げすぎてもデータの特徴が表れにくいし、下げすぎては概念と呼べないし・・・というなかで、そのバランスをとるのがキモというか、コツの要る部分だとおもうのですが、今回、正に研究途中・試行錯誤中の概念図の発表があったことで、自分だったらどうするだろう、と一緒に考えることができ、そのさじ加減のようなものが少しわかってきた気がします。(テキストの展開は美しくて、真似してみようとは思うのですが、生のデータや先行研究がアタマの中にある状態で、俯瞰して概念図を見直すのは難しいと思うので、自分がその段階にきたときにも、また、アドバンス編があればな、と思います。)

 また、自分が「紙面の都合でこの配置なのだろうな」と思っていたものでも、他の参加者から「ここにこの概念があるのは、こういう意図があるからですか?」といった質問が出ていて、一つの図でより正確に情報を伝えることの難しさと、その際のコツ(凡例を載せることやスッキリとした図の示し方等)を知ることができてよかったと思います。

[大学院生]・[研究発表参加者]



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 質的研究という性質のせいか、医療・介護・教育など援助職の参加者が多いのに驚いた。和やかな雰囲気の中ではあったが、9時から20時までの長時間で、脳みそが休む暇がなく後半にはボーとしてきた。結構きつかった。

 理論図の検討が多いのかと予想していたが、発表者の方々の要望は多岐にわたっていたようだった。

 図にすると一見わかりやすいように思うが、伝わる内容が本人の意図しないところに着目される場合があり、矢印はもとより、色・背景の飾りなども慎重に考え、本当に必要なもののみで構成することがよいことがわかった。ついつい飾りをつけたくなったり、いろいろ盛り込んだりするもので、必要なもののみに絞りきることもかなり骨の折れる作業だと実感した。

 研究は本人の関心を、率直にリサーチクエスチョンとして表現することの難しさも再認識した。たぶん、自分の関心を他人が理解できるように整理し文章として表現できるか、それには、関心の中心は何なのか(欲張ってはいけない、わき見してはいけない)を考えきることだと思った。

[高校教員]・[聴講参加者]


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 非常に有意義でした。特に、第1回を受講して、これで分析が進められると思いウキウキして帰ったにもかかわらず、立ち往生していた私には、「ああ、こうやってやるのか」と腑に落ちるものでした。

 量的な研究を学んでいると、「答えは一つで、方法はこの方法」といった形で、熟知するか、誰かに聞かないと本当に正しいのかわからないという感じで、研究分析に責任を負わせてもらえなかったように思います。つまりは、いまひとつ自立できない感じがしていました。

 ただ、今回、原理的な部分を考えるということを学び、少なくとも、正しいか正しくないかを自分で考えることができる気がしました。こんなことを聞かれたら、こんな風に答えようなど、シュミレーションができるようになり、発表することが楽しみになりました。こう言われたらどうしようというより、こう言われたらこう言ってやろうと。(笑)

[大学院生]・[聴講参加者]



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・ 今回のワークショップでは、研究発表をされた方々の専門領域が多岐にわたり、普段なかなか交流のない職種の人達の研究の視点を知ることが出来たのが面白かったです。

・内容も、リサーチクエスチョンの明確化から、すでに論文としての完成が間近なものまで様々でしたが、どの発表に対しても「なるほど」と思うようなコメントが沢山寄せられて、一人一人の発表時間が短く感じるほどの充実した時間でした。また、西條先生をはじめとして、他の参加者の方々のコメントも本質をついたものばかりで、研究に対する建設的なコメントの仕方や、研究の見方についてとても勉強になりました。

・今回発表してみて、色々な指摘をいただき、研究に対する自分の関心の持ち方という原点のところから見直せた結果、自分にとっての研究の意味がより明確になってリサーチクエスチョンを立てなおすことが出来ました。自分の関心を対象化するということがいかに難しいことかを実感しましたが、研究の一番基本となる大切なことを学べたと思います。

[大学院生]・[研究発表参加者]



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第三回質的研究集中ワークショップ感想集



2008年10月25日(土)、26日(日)、11月1日(土)、11月2日(日)に早稲田大学で開催された第三回質的研究集中ワークショップの受講者の感想集を掲載させていただきます(*お送りいただいた中で「掲載可」のものを全文掲載しております)。

アンケートのご協力いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。


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このワークショップ(以下WS)は、西條先生の教えを受けたい、真に質的研究を学びたい、構造構成主義とは何か、その真髄に触れたい、といった熱い思いが参加者全員からあふれているという印象をまず感じました。これが4日、延べ36時間余にもわたるハードなスケジュールだったのにもかかわらず、最後まで一同の士気が落ちなかったこと、各自が自分勝手に突き進むことなく全員が全体を思いやる雰囲気が保たれた大きな理由だと思いました。

さらに、そこには西條先生の独特のパフォーマンスが果たした役割も大きかったと思っております。先生の講義は、始め方も終わり方も独特なゆるさがあり、語り口も一見とりとめがないように見える独特なもので、はりつめた雰囲気も満々のやる気なども感じることはなかったのにもかかわらず、ノートをとっていくとその語りには大切なエッセンス(キーワード、キー概念)がちりばめられていることに気づき、まるで合気道で投げられているような印象を受けました。(もっとも、それがキーワードだとわかったのは、指定テキストの予習の成果だと自負しております。が、元をただせば、そのテキストが分かりやすく書かれていたお蔭だということで、最初から先生には一本取られているのであります。)

加えて、先生は受講生達を正視されることが稀で、一部を除き受講生とはほとんどアイコンタクトをとっておられなかったにも関わらず、結果としては私を含め受講生の心としっかりコミュニケートされていることにも(学習者とのアイコンタクトをとり一人ずつに語りかけよ、と擦り込まされている日本語教師の一人としては)、ああ、この手もありなんだ、と唸らされもしました。やわらかな雰囲気に疲れを癒されながら、論理の世界に遊ぶ自由を得られたことはまたとない貴重な時間だったと思います。「学習者と教師は授業を通してどのようにコミュニケートするのか」という研究課題も立てられるかも、と思っているほどです。

学びの面については、体験したこと全てが意味あるものになったことに充実感をおぼえております。これは班のメンバーが、それぞれに一定の研究経験がありことに加え、人柄的にもこうした話し合いのルールを暗黙のうちに尊重される方々で、お互いが出し合う考えを受け止め合いながら深めていく形で意見交換ができたことが大きかったと思います。

それだけに議論は簡単には収斂には向かわず、放っておけばいくらでも話し合いを続けたかもしれません(それを思いとどまらせ得たのは、「空腹感」と「疲れ」のみだったように思われます)。その結果、班としての発表のまとめ(パワーポイント)は、タイムアウトで思ったことの何分の一かしか示せ得なかったのですが、そのベースとなった真の中身をそれぞれが持ち帰れたかと思います。仲間に恵まれたお陰で、こういうような、多くの者で論を詰めていくという過程を久しぶりに味わえたことが私にはこの上なく貴重な時となりました。

以上が全体的な感想ですが、具体的な場面に関することとしては、以下のようなことを思いました。

データに基づきRQを常に念頭に置きながら、概念を引き出し、カテゴリーへとランクアップしていく作業は体験してみないと、「どこに迷うのか」自体がつかめないものです。自分が取りだしてみたものが全般的に抽象化しすぎていたことを思うと、概念抽出の部分はもう少しリハーサル(全員でトライして結果を比較し合う)体験が組み込まれていてもいいのではないかと思いました。

それから、先生がアドバイスで要所要所で指標となるモデルを提示をしてくださいましたが、結果を拝見してなるほど!とは思いますが、では先生が頭の中でどういうプロセスでそれを抽出されたのかはブラックボックスになっているところが多かったので、もう少し解説していただけたら、これも今後自分が分析していく上でかなり参考になったのではなかったかと思われます(もっとも、自分で試行錯誤してやっていくしかない、と突き放されそうですが…)

総じて、冒頭のアンケートでも選択したとおり満足しており、「2万円が惜しくない!」と心から思えるWSでした。関心ある方々には「ぜひ!」とお勧めしたいと思っております。

[大学教員(準教授)]・関心専門領域[日本語教育]


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 西條先生の軽妙なトークもさることながら、人文科学や法学、看護学、生物学(!) などといった広範な学問背景をもつ教員や学生が集ったことによって学際的な議論が可能となり、実に自由な雰囲気の中でワークショップを体験することができた。すべての参加者が質的研究に対する「飽くなき探求心」をもって講座に臨んでおり、こうした参加者の姿勢に刺激されつつ、自分の好奇心も満足させられたお得感満載のワークショップといった印象です。

■ワークショップの形式(グループワークについて)

 学問領域だけでなく、質的研究の経験も職位(職業?立場?)も異なる6人が1つの作業を行うグループワークは初日こそ不安感をおぼえましたが、作業を進めるにつれ6人の個性的なメンバーが機能的に役割を果たしていることに気がつき、そこからは一気に「作業の効率化」が図れたと思います。

 自由闊達に自身の考えを述べられることで議論が深まり、深まった議論からより豊かな概念が抽出されるといった循環が生まれました。この点で、私たちのグループワークは成功したと思いますし、この質的研究ワークショップをグループワークで行う試みも成功していたと思います。


■講師の教え方

 無駄のない教え方が好きです。

 研究は「手続きやお作法」が大切なのではなく、現象を説明する理論を構築する作業であって、その理論をどれだけ説得性をもって伝えられるかがモンダイなんだよという当たり前の、だけど「誰もかれもが研究者」となっている業界(!)ではその手続きやお作法こそが大切にされている本末転倒な状況をバッサリと斬ってくださり、心がスッキリしました。


■特に印象深いこと、特に学べてよかったこと

 収集したデータを見渡したあと、いったん思考を飛躍させてとりあえずの理論を作ってみて、そのあとでデータに戻り細部を詰めていく作業もまたデータに立脚した理論構築法であるという点が印象的であり学べてよかった点です。むろん、私には西條先生のような学問的センスがないので、なかなか一発で理論を見出すことはできませんが、それでも自分の目で現象の本質をみているからこそ(私なりの)RQを立てることができるのだと思っています。

 ですが、そうした作業を「思い込みだ!」とか「先入観をもって研究に臨んではイカンのだ!」といったもっともらしい語り口で否定する流派(?)があることもまた事実です。私はそれこそ「思い込みや先入観(あるいはすでに頭の中で見え隠れしている理論)」がなくっちゃ研究の緒に就くことはできないのになぁ~と、このmisunderstandingに心を痛めて参りましたが、とりあえずの理論を洗練させ、いかに妥当性をもって説得できるかが質的研究者の力量であり勝負ドコロであると思い直すことができました。

 センスは一朝一夕には磨けませんが、まずは、量的研究の枠組みにからめとられない必勝いいのがれ法(笑)をあみださねば…と次の目標ができました。

 「データの切片化」という作業に何の魅力も感じず、むしろ「余計わかんなくなっちゃうじゃん(涙)↓↓」という疑問の気持ちをもっていたのですが、西條先生のお話を伺って、なるほどこの手続きを踏んだことですべてが赦される(ちゃんと研究していますの証がもらえる)のだったらそれはそれで価値があるのだなと思いました。

 ですが、全体を通して感じたことは、スクラムの質的研究法は万人が遂行できる作業ではないなということです。学問的素養や、現象の本質を見極める能力があることが予め措定されている研究法で、成功するか否かは学問的センスの有無に大きく依拠している手法だからです。だからこそ、自分の限界を知って取り組まなければ大きな間違い(恥ずかしい独りよがりの結果)を招いてしまうことを肝に銘じておく必要があると強く感じました。

[大学講師]・関心専門領域[医療人類学・母性看護学]


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<ワークショップの形式と内容について>
 講義およびグループワークのバランスが取れて、時間配分も適切だったと思います。受講者としてのわがままを言えば、もう少し、概念生成に時間をかけて丁寧に行いたかったという思いもありますが、理論生成までの全体の流れを網羅することが目標でであるとすると、満足いく形式・内容であったと思っております。


<グループワーク・参加者>
 グループ編成に関しては短い時間の中、西條先生の方で質的研究の経験の有無を考慮して編成を行ってくれたこと、大学教授なども参加されていることを考慮し、事前に「上下関係は関係なく、平等な立場でグループワークして下さい」と言ってくれた点は良かったと思います。


<講師の教え方・印象深いこと・特に学べてよかったことなど>
 西條先生のゆっくりとした語り口に最初は戸惑うこともありましたが、事前に前回のグループワークの感想をHPで読んだところそのような事が記載されていたので、実際の西條先生のご様子を拝見し納得で聞きました(笑)。そのゆっくりとしたでもおしつけがましくない先生の教え方に、とても共感を覚えました。

 印象深かったのは、先生が飾ることなく、疲れた時は疲れた顔をされる(笑)など、対人間らしいワークショップだったという点。そんな先生の人柄に皆、親近感を覚えたのではないかと感じました。先生が前回の反省を踏まえて必要なものをそろえたり、考えていらっしゃる手作り感も魅力的でした。アメニティ、環境がきちんと整えられていることは受講者の満足につながるとは思いますが、みんなで協力しながら片付けや準備をするという過程も、グループ全体の結成力、WS全体の雰囲気を作り上げていく大切な課程であったと感じました。

 先生の著書を拝読しただけでは分からなかった、理論生成までの過程を知る事ができたことが大きな学びでした。MGTAをベースにしているものの、決して方法論に固執するのではなく、常に関心相関性を持ちながらすすめていく重要性、質的研究における柔軟性というものを教えて頂いたと思います。実際にこの学びを自分の研究に生かしていくことは難しいと思うのですが、WSに参加した事により研究への新たな原動力を頂けたことは私にとって大きな学びとなりました。

[大学院生(博士課程)]・関心専門領域[看護学]


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先生のワークショップ開始がゆるくてほんわかしていたので、どんな感じになるか見当がつかず、修士論文提出期限まであと1ヶ月半という時期に参加してしまったということもあり、参加してすぐに、全体が見えないことに対してすごい苦しくなりました。(でも最後はHappy Endでした)

一応、今回のワークショップ参加の目的は、ワークショップの案内にあったように、先生が重視されているリサーチクエスチョンを立てるところから発表までの質的研究の一連の流れを知るということ以外に、もう1つ、SCQRMに基づく構造構成主義M-GTAの活用法について知るということでした。

先生が提示された『ライブ講義 質的研究とは何か』のベーシック編・アドバンス編両方目を通しましたが、この2冊では根幹にある構造構成主義が良くわかりませんでした。だから構造構成主義でのM-GTAの立ち位置を知りたかったのですが、それについてはあまり説明がないまま、グループワークに突入してしまったから苦しく感じたのだと思います。(もしかしたら、木下先生のM-に引きずられすぎてしまって、頭の切り替えができなかったからかも)

『とりあえずやる』というのがきっと先生のモットーだと解釈しました。受け身の姿勢はいかん!と自分に喝を入れてとりあえず始めましたが、最初は本当に不安でした。

しかし、グループメンバーに大変恵まれたので、苦しい状況を乗り越えられました。1グループの皆さん、本当にありがとうございました。知らない人が集まってすぐなのに、同じような目的をもった人たちの集まりだったこともあり、年齢とか性別とか関係なく活発なディスカッションができたし、一致団結するのは早かったと思います。だからこそ、乗り越えられました。

ワークショップの全体的なイメージは、『とにかく自分でやってみて、感じて、つかみとれ!! 』です。

先生は爽やかさんで、混沌としている作業現場にすーっと現れ、そのつど方向性を示してくださいました。でも、それに頼り切るのではなく、結局は自分たちで混沌としたところから1つの流れを作っていかなくてはいけないということに気付き、その流れを作り出すのにグループメンバーさん達とすごい頑張りました。

そのように頑張って気付いたことがもう1つ。先生の爽やかな物言いのせいで惑わされてしまいましたが、4日間でリサーチクエスチョンを立てるところから発表までの質的研究の一連の流れを体感するということ自体、相当高いところを目指していたということです。


分析作業途中、先生のおっしゃっている「飛ぶ」がわからず、さらに苦しい思いもしましたが、最後はグループメンバーさん達のおかげで、「飛ぶ」感覚が何となくわかった(気がした)のが、今回のワークショップでの最大の収穫です。

『苦しい』とか『不安』とかネガティブな形容詞を並べましたが、なによりグループメンバーさん達に出会えたことと、その方々と一致団結して1つのものを作り上げるという体験は、楽しいを超えてちょっと快感に近い感覚でした。 これは、「飛ぶ」感覚以上に貴重な収穫でした。開催から終了までの1週間は本当に楽しかったです!

このような経験ができたのも、先輩が誘ってくれたのが直接のきっかけではありますが、なにはともあれ先生がこのワークショップを開催してくれたおかげです。本当にありがとうございました。アドバンス楽しみにしております。

[非常勤看護師、修士課程2年]・関心専門領域[看護]


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 4日間の集中WSということで、参加する前は、途中で眠くなって居眠りをしてしまうのではないか(たいていの講座ではそうなりますので…)と危惧していたのですが、自然と課題に集中でき、長時間にも関らず、緊張感が適度に保てるWSでした。先生もまめに連絡をいれてくれたり、自らお茶の準備をしたりされていたので、参加者としても気が抜けない感じでした。

 グループワークを進めていく中で、RQを立てる、質問項目を考える、テクストから概念・カテゴリーを立てる、理論を作る、など、それぞれの段階で話が煮詰まる事が多かったのですが、その都度、質問するたびに、先生も同じ立場で「こういう風に考えられるのではないか」と示唆し、考え方・取り組み方のモデルを示してくれたので、大変参考になりました。しかし、実際にやってみると、やはり、難しいなあ…。

 先生のよくおっしゃっていた「とりあえず」という言葉には救われました。いつも「こうしなければならないのか?ああしなければならないのか?」とついついベストをめざして(あるわけないのですが…)逆になかなか考えや実行が進まないときがありました。しかし、「まず、このように考えてみる」と、先に進むための一歩を踏み出すことが気楽に、しかも効果的にできることにつながっていく気がしました。

 また、「考える事を止めない」という事も大変参考になりました。手を動かし書いたり、イメージを図にしてみたり、色分けして視覚的に捉えてみたり、ということが考えるのに役立つ事がわかりました。さらに、なんといっても、考え方の主軸となっていた「関心相関的に」ということが、職場での議論や日常生活上でも活用されると、もっとコミュニケーションがしやすくなり、よりよい仕事ができたり、日常生活への満足感が高まったりするのではないか、と思われました。

 グループワークでは、先生が自分の考えを押し付けることなく率直に話されるので、参加者も自然と、お互いの考えを他の人の考えも尊重しながら、フランクに話し合う事ができていたのではないかと思われます。また、ワークショップの原則を最初に話され、参加の仕方の方向性を作られたこともよかったと思います。

[作業療法士]・関心専門領域[地域づくり、認知症支援・認知症予防]


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 勢いで申し込んで、はるばる出かけてみましたが、予想もしなった充実感が得られ大変満足しています。

 私は現場の看護師で、しかも専門学校卒、しかも臨床経験が少なく、しかも看護研究はふた昔前に1例のみという他の参加メンバーとはとても同席できる状況ではなかったのですが、今回は班のメンバーに恵まれ(1班)、自分の目標は達成できたと思います。

 そもそも、ワークショップに行くきっかけは、7月に、ある在宅医から日本在宅医療学会への症例発表をすすめられ、ちょうどそのタイミングで怪我のため休職したので、看護研究の本を読み始めたことでした。この長い夏休みの学習で、質的研究のことを考える人がこんなにいるんだということに驚くと共に、先生の本を読んだり、名古屋大学の研究会に行ったり、ネットサーフィンしたりしました。


1、グループワークで、チームワークや自分がメンバーとして前向きに関わる大切さを再確認できた。 

  今日もまた、メンバーから写真などが送られてきています。班の人たちと仲良く出来たことは本当に良かったです。分野やレベルは違っても、質的研究に取り組む仲間がいるということがわかり、私も頑張ろうという気持ちになりました。


2、本に書いてあることではあるけれど、質的研究を実際に行なうことで、それぞれの作業のポイントがわかった。

RQを目の前に書いておき、研究の関心からずれないようにすることは、研究の間中行なっていて、皆の意思統一が出来ていたと思う。マーカーを使うとか、インタビューのコツとかいろいろ。


3、質的研究の可能性・有効性(必要性)を確認できた。

質的研究を聴衆の納得を得られる内容にするには、哲学レベルからの理解が必要だと思いました。ただ、これは研究をする際にだけでなく、日々の人間関係や生活にも生かせる視点であることも少しずつ感じていますので、もうしばらく頑張ってみたいと思います。


4、「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」by 青島刑事:踊る大捜査線

   今回、私のような者が、研究者や院生の皆様と同じ教室にいたことに違和感を感じた方もいるかもしれません。実際過去の感想を見ると、受講者のレベルを統一して欲しいという意見もありますね。
 
   しかし、私は現場の人間が使えない、理解できない理論や方法では現場の感動を伝えられないと思うのです。先生の方法は、概念のまとめ方や、モデル図作成時のジャンプが結構大変ですが、見た目の分かりやすさや根拠が明確といったところが受け入れやすいと思います。また、継続研究として継承できる、次につなげることができるところに面白さ・有効性を感じます。


5、ワークショップ参加目的でかなわなかったこと。

 もう一つの私の目的は、このワークショップ参加者から、スーパーバイザーになってくれそうな人をハンティング(笑)することでした。うちの事業団の量的研究では、日本福祉大学の方が関わっている様で、上司を説得するためにも、共同研究者、もしくは指導者を探す必要があるのです。自分の興味の対象やフィールドがあるのに、私も組織の一員なので、自分の興味だけで動けないところが歯がゆいところです。

 今回、グループの人の研究興味は知ることが出来ましたが、他の方の話も聞いてみたいところでした。たとえば二日目のはじめなどで、自己紹介をする機会があれば、興味対象が近い人などとコンタクトも取りやすかったかと思います。


 今回のワークショップは本当に楽しく、充実したものでした。散漫な文章となってしまいましたが、先生に感謝の気持ちを伝えたいと思います。臨床でもそうですが、若い研究者が真摯に頑張っている姿は、年長者にもいい影響を与えます。すがすがしい気持ち、遠くにすぎてしまった研究に熱中する気持ち、とりあえずやってみようという前向きな気持ち、そういったものの大切さをあらためて実感し、名古屋に持ち帰ることが出来ました。ありがとうございました。

 先生にはお忙しい日々と思いますが、お体に気をつけてお過ごしください。 また何処かでお話を伺えることを楽しみにしています。 

[訪問看護師]・関心専門領域[看護]


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 最初、先生の独特な間の話し方に戸惑ったが、今思うと、あの緩やかな雰囲気が気を張らないで取り組めばいいということにつながったのかなあと感じる。西條先生の関心相関的理論構築と木下先生のM-GTAとの概念生成の違いを説明してもらえたので、理解が深まったし、どちらがいいというよりは、色んな方法があり、目的や得意不得意によってどちらのやり方も有効になりうるということを知れたのがよかった。

 5班は、年配でキャリアのある参加者も多かったので、「若い人に」と言って、役割が与えられて戸惑うこともあったが、勉強と思って取り組んだ。あの時は押し付けられた感があったが、今思うと、あまりにもRQやインタビューに入り込んでしまった人よりは、そうでない人の方が発表する時に人を傷つけないでいられるのかもと思い、インタビューイーに対する配慮であったのかもしれないと思い直した。

 メンバーがそれぞれ自分の考えをよく話していたと思う。ぶつかるときや停滞するときもあったが、それは生みの苦しみだったんだと思う。

 理論構築に関しては、まずまずいいものができたと思うのだが、プレゼンで人にちゃんと理解してもらうまでに至らなかった。自己完結しては理論構築した意味が半減するので、人に伝えることの大切さを改めて思い知った。

 他の班の理論を知ることができて、いい刺激になった。また、自分の語りを分析されるというのは、かなり恥ずかしいことも知った。自分の体験や語りを批判されるようなことがあると、インタビューに協力したことを後悔することになるので、自分がインタビューするときや論文発表の際には注意しようと思った。

全体を振り返っても満足度の高いWSだった。

[大学院生]・関心専門領域[がん看護]


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· 4日間集中してグループの人と協力し、真剣に考えて知的作業を行い、ミニ理論を作成するという経験自体が貴重でした。熱い、楽しい、といった情動的なプラスの経験であることで、自分の成長につながると感じられました。

特に、同じグループの方々が目的意識をきちんと持ち、協力してやろうという思いをしっかり持った方たちばかりだったので、とても助けられました。グループ編成は、質的研究経験者とか、PCを持っているとか、参加目的や年齢・性別などで予め分けておいて頂く方が良いのかもしれません。

· 流し読みながらも、テキストを読み、「研究以前のモンダイ」を購読し、自分なりにMGTAを経験したことがあったので分かりやすいと感じたけれども、初めてであればニュアンスの理解が難しかったと思う。またグループ内に、作業過程でMGTAの方法を理解して牽引する人がいないときついと思いました。

· 構成構造主義についても、MGTAについても、各1~1.5時間位の概論の講義が必要ではないかと思います。特に前者について最初に聞いておくことで、これから取り組む作業の意味が深まるのではないかと思いました。

· 西條先生の自己紹介が最初にあったらよいのではないでしょうか?研究されてきている内容などを良く知らない人がいたら、もったいないと思います。著作についても簡単なコメント付きで紹介してもらえると、売り上げも上がるでしょうし!関心も高まるのではないでしょうか?

· 僕自身はこれからMGTAを用いて卒論を書こうとしているところです。自分の以前行ったMGTAの方法や理解が大きく外れていないことの理解になった一方で、理論生成の上でヒラメキのような飛躍を必要とすることや、それを意識化して行うこと、理論生成までの行きつ戻りつのプロセスなどをよく理解することができました。

[作業療法士]・関心専門領域[身体障害・老年期障害の作業療法]


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全体の印象・雰囲気としては、各グループでとても熱心にワークショップに取り組んでいたと思いましたが、最初に先生が参加の仕方について念入りに説明されていた訳もよくわかりました。

ワークショップの形式は、話し合いの人数、指導体制やプレゼン状況から5グループは適当で、会場も十分だったと思います。内容としては4日間であまりに密度の濃いものでした(体験して改めて感じました)が、RQの設定から始まりプレゼン形式の発表まで含められていたのは、達成感はもちろん各グループの内容理解のうえでも有意義で、ワークショップの満足度が高まりました。また中間発表があったことは、段階的に振り返ることと他のグループの内容理解に役立ちました。

参加者は様々な分野の方が集まると聞いていて、どんな内容のRQになるか、どんな出会いができるか、とても楽しみでしたが、期待以上の体験となりました。

グループワークとして、自分のグループは同年代で構成されていたせいか意見交換がとても行いやすく、良いチームワークで進められたと思います。話し合い自体は、各自が出てくる意見に常に耳を傾け、意識的に受け入れ考えながら進めていけたのですが、それでも各々の意見を十分に尊重し、すり合わせてまとめあげるのは大変でした。

また、まとまっても方向性として妥当かどうかはわからなかったので、そのようなときに講師の先生に指導をお願いし、軌道修正しながら前に進めることができました。作業については各自が積極的にアイデアを出し合い、誰かがリーダーシップをとるというのではなく、自然に発生したお互いの役割への認識や信頼感を高めながら進められ、発表まで協力しあえたと思います。他のグループの参加者とも空き時間や打ち上げで接することができ、このワークショップの楽しさと難しさをさらに実感しました。

講師の先生の教え方は、本をさらに噛み砕いて説明してくれたり、新たなわかりやすい例えを提示してくれたり、また参加者からの質問にも丁寧に答えてくださっていて、それによってさらに理解を深めることができました。各グループでの質問・回答も必ず全体で説明してくださったので、自分がどう質問していいかわからなかったことや、気がついていなかった疑問にも気がつけて解決できました。

グループワーク中はグループの進行度に合わせて回ってきて下さり、来られた時には腰を落ち着けてメンバーの意見を聞きながら、メンバーが先生に頼りすぎない範囲で熱心な指導をいただけたと思います。どんなときの説明も必ず原点に立ち返り、繰り返し平易な言葉で本質がぶれないように言ってもらえたので、グループワークの途中で見失いかけた羅針盤をまた見つけて進んでいく感じでした。

特に印象深かったのは、インタビューの難しさです。インタビューガイドをつくるときあれだけ誘導にならないようにと考えたのに、実際のインタビューの中では相手の話に自分の解釈を押し付けていたことが、テクストつくりながらわかりました。また、同じ言葉でも自分とインタビューの相手とのとらえ方が違い、質問の意図が伝わりにくいこともあるとわかりました。反省は今後のために大いに活かそうと思います。

インタビューを受ける側も経験し勉強になり、また自分が話したことが含まれたモデル図を示されるのはかなり気恥ずかしかったですが、逆に、この体験はそういうものだったのかと新たな目でながめることができ、大変参考になりました。

特に学んだことは、質的研究を進めていくということは、常にRQを問い直すこと、常にデータを見つめ直すこと、変化を恐れないことなんだ、ということです。

本を読みながら、また講義を聴きながら1つ1つ腑に落ちていく感じは、頭で理解するというよりもむしろそれを捨てたもっと感覚的な理解に近かったです。本来自然に流れている思考でありながら無意識に沈んでいたものを意識の上に乗せたとか、本にはこう書いてあるけどホントのコツはコレと今まで経験知として捉えていたものを、本来の筋道として意識的に使えるような形にして示してくれているように思いました。

今まで質的研究や理論はどこか「たいそうなもの」「難しいもの」と身構えていましたが、研修の中で何度も「理論は現象を説明するためにあるもの」、理論は「料理」のようなものと聞いて、すんなり取り組めそうな気になれました。日常生活の中でも、日常会話レベルでも、情報伝達するときには経験や考えをうまく言い当てる言葉を探したり、それらを関連づけてその人なりの見方を示したり、概念化や理論生成に近いことを個人レベルでは日常的に行ってるのかなとも思いました。

研修を終えて、なかなかわからなかった質的研究の森の入口にやっと立てたような気がします。研修に参加し貴重な出会いがいくつもありました。これから共に切磋琢磨する仲間になれるように、大事にしていきたいと思います。

   西條先生と、参加者の皆様に、感謝感謝です。

[大学助教]・関心専門領域[がん看護学]


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今回のワークショップには、質的研究を実際にどうやっていけばよいのか、体験的に学んでみたいと思って参加しました。

私自身は質的研究をこれまでにやったことがなく、また当日参加していた方々も年齢・立場・経験が様々な方が来ていたので、最初グループワークをやっていくことに少し不安もありましたが、西條先生が、グループ分けの段階から細やかな配慮をして下さったり、「みんなで協力してやること」「疲れるのでおやつを食べながらやったほうがいい、時には寝ることも大事?」など、ユーモアたっぷりに全体の雰囲気を作ってくださり、4日間和気藹々とした雰囲気の中で進めて行くことが出来たと思います。

ワークショップは、西條先生の講義を要所要所に挟みながら、グループワーク主体で進みましたが、事前にテキストを読んでくることが課題となっていたので、今作業のどの地点にいるのかを確認しながら作業を進められたことがよかったと思います。特に、リサーチクエスチョンや理論モデルを洗練させていく過程は、本を読んで大変そうだなと感じていた点でもありましたが、私たちのグループも実際にリサーチクエスチョンを変更せざるを得ない状況に陥ったり、理論モデル作成の段階ではかなり難航しました。

しかしながら、その経験を通じて、関心とリサーチクエスチョンがずれていったときにいかに修正して行くのか、その時の考え方のコツとして「問いの立て方が構造を作る」ことを意識する重要さを学ぶことが出来たと思います。

グループワークの作業は、意見をすり合わせて行くことの難しさも時に感じながら、一人で考えていては行き詰ってしまうようなところを何度も越える体験があり、グループで作業することの面白さを感じました。また、他のグループの発表を聞くことも、その試行錯誤のプロセスから学ぶことが多くあったり、最後の発表の内容に興味を惹かれたり、理論モデル作成の視点やアイデアに感心したりと、いい刺激を沢山もらったと思います。

西條先生は、全体を満遍なく回られて、グループの中に入って流れをチェックしたり、思い切って修正を手助けしていただいたりしましたが、そのペースが心地よく、自分たちで考えを煮詰めていきながら、ポイントとなる所で手助けをいただくことが出来たなと思います。

また、たとえ話を使って説明してくださることが多かったですが、その例えが日常感覚からきているというか、とても分かりやすくてかつ面白く、体験を構造化していくところの実践を見せていただいているような気がしました。

また、実際のデータから理論化のところへは、ある種の飛躍が必要であるという部分に関しては、他の受講生からも質問や、「飛べない…」という切実な訴え(?)が出ていましたが、その質問からまた理論化のコツや、日常感覚の大切さという部分を丁寧に講義してくださり、その場に集う受講生の関心から、講義が作り出されているダイナミックな感覚を味わうことができました。その疑問に対しての回答も、腑に落ちるというか、正しい方向というものに対する展望が得られた感覚がありました。

特に印象深かったことは、リサーチクエスチョンを立てたところから、データをもとに理論化する段階で、何回かの質的飛躍が生じるポイントを体験できたことです。最終発表のところにまとめて行く段階が特に大変で、一時は本当にまとまるのかとも思いましたが、まとめて行く段階で新たなアイデアが出てくることを実感しました。最終的にまとめていく段階は本当に時間との戦いで、課題もたくさん残ったと思いますが、とにかく研究を最後までやりきったということに充実感があり、いい経験となりましたし、ここで学んだコツを今後生かしていけるよう頑張りたいです。

特に学べてよかったと思うことは、質的研究のやり方が体験的にわかったのはもちろんのこと、それ以上に研究を進めて行く上でのコツをたくさん学べたことです。それは、このワークショップを受講して一番良かったと思っている点で、ワークショップが終わった現在、気分転換をすることや、楽しく研究をすること、また自分の研究を人に話したり、色ペンを使いながら構造化してみるなど、いくつかのコツを意識してやってみるようになり、それは「研究」と「自分」を繋いでくれる、大切な経験となりました。

今後アドバンス編の開講も考えていらっしゃるということでしたが、それは自分の研究を持ち寄ることができるということで、またぜひ参加したいと思っていますし、またそこで生まれる新たな発見が楽しみです。

また、このワークショップを通じて立場や職種が違う人との交流をたくさん持つことが出来たこともよかったです。質的研究を学びたいと思ったきっかけ、動機もさまざまながら、どこか興味の持ち方が似ている、そういう人達と研究の合間や打ち上げのときにたっぷりお話できたことも、とても素敵な経験の1つになりました。色々な意味で、期待以上のワークショップでした。ありがとうございました。

[大学院修士課程]・関心専門領域[臨床心理学]


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WSの形式や内容

・演習を通して経験する点については「身についた」ということが実感できた。

・そのつど演習で経験した後に講義を受ける形式はわかりやすかった。おそらく経験しての疑問や不明な点が分かる位置までの理解ができたからだと考えられる。

グループワーク

・誰も何も言わないがそれぞれの役割ができていてスムーズに演習ができた。

・たまたま気が合うメンバーとの演習であったからよかったが、それぞれの役割の機能などが発揮できなければ、かなり困難なGWとなると思われた。

特に学べてよかった点

・ 新たな気づきは「とぶ」ことであろう。しかし、これは全体やRQを見ながら細部についてデータに戻るといった繰り返しを行うことである。このことを連続して行ったことでRQがぶれずに進めていくことができた。

演習とは別に他の班のインタビューを受けるという経験をしたことでインタビューを受けた後もその影響があることを実感した。インタビューの時間内で言い忘れたことや質問から自らを振り返り、語りに追加したい気分にもなった。これらから考えるとインタビューを1回のみで終了させてきた自分の調査方法も考えなおすきっかけになった。

[大学教員]・関心専門領域[看護学]


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充実した4日間でした。

分析ワークシート作成の部分をもう少し丁寧にやってみたかったです。といのは、暫定モデル作成が「なんとなく」班員の強力で作業が進んで、自分自身は「あやふや」と感じたため。

会場がよかったです。窓からみえる木々がとても素敵でした。

[大学院]・関心専門領域[看護学]


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 こうしたワークショップには初めて参加したのですが、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。

 最初は誰が誰かもわからないような状態から始まったのに、最後終わるときには教室全体に一体感や連帯感があり・・・。4日間の内容の濃さを感じました。(中学生や高校生のときに、学校祭でひとつのイベントをやり遂げたときのような達成感、一体感を感じました。)

 また、先生の教え方が押し付けがましいものでなかったこと、また、自由に発言したり、年齢や立場に関係なく進めていきましょうという雰囲気を作り出してくださったことが、このワークショップ全体に流れる「空気」をとても良いものにしていたと思います。

 私は、質的研究についてはまったく経験がなく、本で読んでも中々わかったという気になれず、さっぱり?な状態の中、ちょっとの知識だけを携えて参加しました。が、やはり「ちょっとの知識状態」での参加を勇気を持って決断してよかったと思っています。やはり、1度流れを経験しておくと、後の自分の研究がとてもスムーズになるし、より自信を持って進められると思ったからです。

 また、最初に入ってきた知識や経験、というのは自分で意識している以上に自分自身に根付くものです。そういう意味でも、先生の考え方、進め方が、質的研究経験における最初の出会いになったことは、自分にとってとても価値のあることでした。

[大学院生]・関心専門領域[音楽、教育、心理]


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・ ワークショップが体験的に理解していけるように組まれていた事はとても良かった。ただ本を読むだけでは得られない実感を伴う理解が出来たと思う。

・ 4日間で発表までを終わらせるためには、グループワークという形式は不可欠であったと思う。6人寄れば文殊の知恵、さらに、智恵だけでなく、モチベーション維持、笑い、おやつ(?)など色々な参加者で構成されたグループならではの効果があった。

・ 西條先生の講義はわかりやすかったです。さらに、グループに回ってこられて頂く具体的なアドバイスは、講義や本の内容理解を促進してくれました。

・ 特に印象深いこと:大学院生はもちろん、これから研究しようかなと考えている人が学びに来ていたこと。

院生は必要に迫られているけれど、「自主的に学ぶ」為に方法を学びに来る、という態度・考え方に感服しました。また、打ち上げの飲み会でご自身が席替えをして満遍なく皆とコミュニケーションをとられる気配りは、「師の後姿」から学ばせていただきました。

・ 特によかったこと:

① 研究の客観性、理論の一般化についてどのように考えたらよいのか、少し道筋が見えてきたように思え

る点。

② 自分の関心と研究の目的をつなぐ方法や研究方法の選択について具体的に学べた点。

③ 質的研究についてわからなくなった時に、相談できる方(先生です!)を発見できた(?)事。

[大学院後期課程]・関心専門領域[臨床心理学]


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 西條先生の独特の雰囲気のもと,とても楽しい4日間でした。

 ワークショップは,とにかくグループワーク三昧で,4日間,自分のグループ以外の方々とはまったく話をする時間がないほどでした(その分,打ち上げで話をしましたが)。参加者の方々は,皆研究意欲が高く,レベルの高い方々で,学ぶことが多かったです。西條先生には大事なポイントを教えていただき,勉強になりました。ただ,もっと先生の話を聞きたかったようにも思います。

 私は質的研究をしたことがなかったので,リサーチクエスチョンを立てるところから,質問項目を考え,実際にインタビューして,テクストを起こし,概念を取り出して,理論を作るところまで,一通り経験できたことが,とても有意義な体験になりました。特に,質問項目を立ててインタビューするところや,理論を作っていく作業などは,やってみて初めてわかることも多く,良い機会となりました。

[家庭裁判所調査官]・関心専門領域[非行臨床]


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第二回質的研究集中ワークショップの感想集

 2008年9月14(日)・15(祝日)、9月20(土)・21日(日)に行われた第二回質的研究集中ワークショップの受講生の感想集を掲載させていただきます(*お送りいただいた中で掲載可のものを全文掲載しております)。

 アンケートのご協力いただいた皆様,誠にありがとうございました。また開催に協力していただいた関西大学の教員や学生の皆様に改めて感謝申し上げます。


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 学びを中核としながらも、和気藹々とした中で過ごした4日間は、想像した以上に愉しいものとなりました。分野を越え、志を共有できる仲間と出会えたことは、素晴らしい財産を得ることであると思います。

 この様な場を作り出すことが出来たのは、西條先生の持つスタンス?の賜物ではないでしょうか。時間が延長することも多々ありましたが、ご丁寧に付き合って下さった西條先生に感謝しております。

 ありがとうございました。[大学院生] 



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初心者ですので、初めての質的研究体験でした。

理論的背景から、研究の進め方にいたるまで、先生の丁寧なコメントをいただくことができ、目からうろこが落ちるような経験もいたしました。特に、研究の落としどころについての先生のご意見が大変参考になりました。

また、4日間にわたって、グループワークで取り組んだことにより、看護分野の方が多かったですが、他の分野の方々との交流ができたことも大変プラスになりました。

あとは、自分で実践してみないといけませんが、日常業務に取り紛れてなかなか学んだことをすぐに生かせないでいます。ワークショップで得たわくわく感が新鮮なうちに、研究を進めなければ。いい刺激になりました。

アドバンスコースも是非、期待しております。[大学教員]



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 とても楽しかったです。グループのメンバーは、年齢、性別、居住地すべて異なり、また心理学、社会学、教育学と異なる専攻の研究者(陰性を含む)でした。個人背景や学問領域は異なっても、グループの人たちはどこか同じに思えました。同じ思いを持つ人との出会いは心強く、自分の進み方が間違っていないという気持ちが湧いてきました。

 私の専攻は看護学です。方々の学会、研修会に参加し発表などを聞いております中、質的研究熱の高まりを実感しております。私はこれを好ましく考えております。西條先生のおっしゃるように、質的研究の結果は現場実践者に視点を提示し、問題や現象を理解することを助けます。このことは実践の工夫や改善をも可能にし、ひいては患者様の回復や健康増進に寄与いたします。
 しかし問題も多々感じています。例えば、Research Questionをたてることなくインタビューやグループインタビューを行い、結果が提示されているよう発表や論文を見かけます。何を問題にし、どういうResearch Questionをたてるかでインタビュー内容や、抽出する内容は異なってくるはずなのですが、何故か分析結果と結論が出てきている、というような発表です。実際、ある研究会で、ある発表者は、インタビュー内容を発表した後、「このデータで、どういう研究をしたら良いと思いますか」と会場の人に質問していました。

 Research Problem と言う言葉や、これが意味する内容は比較的なじみがあるようですが、Research Questionと言う言葉は全く理解されていないようです。研究のスタート時点で、すぐに質問紙を作成し量的な結果をだすという研究を行う体勢が身についているからだと思います。多くのケースが、Research Questionを意識することなく調査に突入しているため、問いを立て研究を行っていく習慣が無いのだと思います。無意識に開始している、西条先生は、多くが量的研究に向く問いをたてているとおっしゃっていましたが、これと似たような意味だと思います。

 研究=量を明確にする、群に分け検定をする、多変量解析を行う、という風土があり、問いを立てず研究に突入する風土や慣習で生きる人たちが、インタビューや観察が研究になるということで、やはり問いを意識することなくインタビューをし、結果を出しています。恐ろしいことに、それでも結果は出てきます。

 今回のワークショップに参加した大きな収穫は、この点にあります。問いを立てる時点から、じっくり考え、ブレーンストーミングし、時間を割り当てること。当たり前のことなのですが、そう思われていません。

 質的研究は、徒弟制の中で伝承されている傾向があり、Masterの学生に自分のやり方を教えている先生がほとんどです。私もそうやって伝授されました。恩師はまともな先生で良かったと感謝している次第です。私自身、今後看護師の人に質的研究を教えていきたいと考えていました。少しずつやれたらいいのですが、現在はゼミ生に伝授するのみです。

 今回のワークショップで、Research Questionを立て展開し、解答を出す、これこそが研究であること、質的でも量的研究も同じこと、このことが最も印象に残った点です。[大学教員]



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 疲れましたが、大変楽しかった。その一言につきます。グループメンバーにも恵まれ、大変充実した時間を過すことができました。何かと細切れになった時間の中で過すことの多い職業生活において、一つのテーマについてあれだけの時間をかけ、それを1人ではなくグループで考え抜く時間が与えられていたことは、この上ない幸せだったように思えます。このワークショップを企画して下さった、西條先生、関西大学の皆さん、そしてグループメンバーをはじめ参加者の皆さまに感謝しています。

1人で質的研究をすることに違和感をもっていて、何となく足を踏み出せずにいました。しかし、今回のワークショップに参加して、やはり質的研究は共同研究の形をとるか、もしくは単独で研究する場合にはスーパーバイザーが必要だという結論にいたりました。グループでの議論やその議論に対する西條先生の助言を通じ、自分とは違う切り口で物事を捉えるスーパーバイザー、もしくは共同研究者が必要であることを痛感しました。


 質的研究方法において、もっとその研究プロセスで苦労するのが、カテゴリーを構造化する段階であることを体験できたことが、もっとも印象深く残っています。そして、その段階で同じ班の某先生が寝込んでおられましたことも併せて脳裏に焼き付いています(笑)。

また、構造構成主義とは、反・方法主義である方法論であり、その方法を求める仲間がこれだけたくさんいらっしゃるというのは、自分の立ち位置を確認する上でも安心できる材料となりそうです。

 また、特定の人間関係の中で仕事をする期間が長くなると、やはりマンネリは避けられません。そういう意味で、似通った悩みや興味・関心をもつ参加者と出会えて、新たな刺激を受けたことも、自分自身のリフレッシュにつながりました。ありがとうございました。[大学教員]



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 参加する前は、どのような様子なワークショップなのかよくわからず、期待半分・不安半分の参加でした。学生として,TAとして,講師としての私自身の経験から,今回のグループワークという形式がどのようなものになるのか不安を感じていたことに加え,これまでのさまざまな研究会に参加した経験から、少なくともいくつかの研究会では内輪のメンバーでとりおこなわれ、外部から参加する者は「よそ者扱い」で、非常に居心地のよくない経験をしたこともあったためです。

 今回のワークショップは、とてもアットホームな雰囲気で、先生や参加者のみなさんの温かい人柄に助けられ、いい学びの場となりました。4日間という限られた時間であったため、本格的な研究とまではいかないものの、研究の掘り起こしから発表までを簡単にざっと体験できる、ということも達成感につながり、よかったと思います。

 インタヴューしたことを概念化していく過程は思ったより難しく感じました。学術誌に掲載されている論文をみると、当然ながら分析から結果に至る部分はさらりと書いてあるのですが、やはり実際に概念を生み出していくことは簡単ではないなとあらためて感じました。こういった「生み出す」という作業は、日常的な生活経験が質も量も豊かでないと、なかなか難しいかもしれないと思いました。センスの有無といってしまえばそれまでなのかもしれませんが・・・。

 また、ワークショップの内容そのものとは関係ないですが、他領域で活躍されていらっしゃるみなさんの考え方に触れ、非常に多くのものを吸収した気がしています。

 またこういった機会があったら参加してみたいですし、単なる知識で終わらぬよう、今後自分の研究に取り入れられる部分は取り入れていきたいと思っています。ありがとうございました。
[大学院研究生・大学非常勤講師]



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 今回自分自身の中で非常によかったなあと感じたのは,研究の過程と発表の一端を,楽しく批評をもらいながら実践できたことでした。

 また,学術的に価値がどうこうという前に,“自分達がたてた問い”に対する研究結果が発表という形で完結したときは,文化祭や運動会の発表に似た小さな成功体験を感じさせられました。そのことによって,ああ質的研究とはこのようなものなのかなと実感するとともに,なにやら自分でもがんばれば研究が続けられるかも・・・と良い意味で自分にエールをおくることができました。  

 もちろん質的研究を低く見たり,学術的に価値のあるものが簡単にできるとは思っていません。むしろ奥の深さに感嘆させられたという感じです。すでに発表されている研究論文をそのような視点をもって再読してみるとまた違った意味でその深さやすごさを感じさせられました。

集中ワークショップにおける小さな経験は,それこそ西條先生の言われている“1事例における質的研究は視点提示型研究として意義がある”と同じように新たな視点を僕に提示したかもしれません。

 最も印象深かったことは、第1に,問いのたて方,概念やカテゴリー名のつけ方のコツなどです。第2に,モデル生成時に,つまった時は,ペーパーに鉛筆でサッとモデルを書いてみることです。

 厳密な作業手順を順次踏んでいけば自動的に答えに到達するという手続きだけを重視するのではなく,思い切りや直感によってたたき台モデルをつくって試行錯誤しながら前進することが印象的でした。量的な研究は方法論が確定するとあとは統計処理ですが,このあたりが質的研究の面白さなんだと実感しました。

 最後に,グループワークを通して多く人達と知り合いになれたことは何よりの宝物であることはいうまでもありません。先生をはじめ,受講者の皆様方に心より感謝申しあげます。[病院職員,理学療法士]



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 研究歴や立場そして分野も多岐にわたっているにもかかわらず、あまりそこにとらわれることがなかったワークショップだったと思います。このワークショップや質的研究についての必要最低限のポイントを先生が押さえて、それ以外のことは気になる人がいれば尋ねればいいという参加者中心のプログラム構成があったからこそ、それぞれが協力し合うことができたのだとおもいます。(大学院生)



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 さまざまな分野の方たちと1つの研究をするというのが、とても刺激的で楽しかったです。理論を作るのは大変でしたが、RQに照らして考えるということが身に付いたと思います。他の班の発表も興味深いものばかりで、新たな発見がたくさんあり、勉強になりました。[大学生]



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 質的研究のノウハウについては、大学院のゼミで多少習い、文献を探る程度でしたので、今回体験的な学習によって実際に体と頭を使って学べたことはとても意義深いものがありました。頭で、というより、体で覚えた感じです。また、それぞれのチームが個性的で、取り組み方も多少異なったりして面白かったです。笑いもたくさんありましたし。インタビューは今後実施する予定ですので、今回のワークショップで学んだことを生かしていきたいと思います。

 また分野は違いますが、研究を志す仲間とともに「あーでもない、こーでもない」とやりとりをしながら取り組めたことは、ふり返ってみると感慨深いものがあり、貴重な財産になりました。今後のエネルギーをたくさんいただくことができました。西條先生を目指して集まっただけあり、参加者の質が高く、刺激を受けました。[養護教員]



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 もちろん、質的研究法についての学習も大事ですが、何より一番の収穫は「横」の人間関係のつながりができたことだと思います。逆に言えば、質的研究は、グループワークの形式をとらないと難しいのではないかという不安もありました。ただ、質的研究の勘所を押さえられたという点はよかったと思います。概念を作るときの団結力はすさまじい勢いでできていったので、その点ではよかったと思います。[大学院生]



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 構造を構成するための一連の手続き(発表まで)を体験する機会はめったにないので、(しかも関西で開催されることはめったにないので)参加できてうれしかったです。また、さまざまな分野で仲間ができることは大きな励ましになります。これで2万円はお得だと思います。

 物理的にも精神的にも、ひとりで取り組むことが大変困難であるということを、あらためて理解できました。

 今まで授業分析をメインに行っていましたが、「こうでないとこの学会では通用しない」というものにかなり縛られていたのか、やたらコストパフォーマンスが高くつくようなやり方にこだわっていて、モチベーションが下がることもしばしばありました。西條先生から、リサーチクエスチョンに照らして適切な手法を選択することが妥当であるから、「正しい方法」というより「有効な方法」を追求すればよいということを伺って、少しやる気がでてきました。もう一度適切な方法を見直してみたほうがよいなと思いました。[NPO団体所属]



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 受講生はほとんど学生さんたちばかりだろうと思って申し込んだ(一から勉強するためにちょうど良い、と思い・・・)のですが、すでに研究実践を積んでいる方たちが多く、まずそのことにびっくりしました。

 経験者がワークショップの構成員の場合はえてして初学者の肩身が狭くなることも多いと思うのですが、今回は受講者全体が熱心で他者を排除する雰囲気はなく、むしろ今回は皆のその熱気がワークショップの良い雰囲気を支えていたように思います。「どんな人が来るかわからんしなぁ・・・」と受講前に重かった足取りも嘘のように、非常に楽しく充実した休日を送ることができました。西條先生はもちろんですが、グループの皆さん、受講者の皆さんに感謝、感謝です。

 様々な専門分野・興味をもっている臨床家や研究者の集まりで、自分の視点を広げる(狭さを再度見直す)機会となり、また、自分の物の見方を再認識することができました。臨床分野では、自分自身のコンプレックスを無くすためではなく気づいておく(引きずられないようにせめて知っておく)ために教育分析を受けることが多いのですが、質的研究でもそれに通じるような内容の重要性を指摘されており印象深く感じました。[大学教員]



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 合計4日間という短い日程の中で、グループ1つになって質的研究の基礎を体験できるのは、とても良かったと思います。精度やクオリティの高いリサーチクェッションから生きてくる関心相関性とSCQRMという手法は勉強になりました。[大学院生]



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 もう少しきつい内容を予想していましたが、思ったよりもゆっくりした流れで研究法を体験出来たので良かったです。初日は夜行バスで到着したので体はきつかったのですが、無理なく参加できました。前半が終わった後、久しぶりに脳がものすごく疲れているのを感じられて気持ちよかったです。後半は、順調に進んでいたこともあって終始リラックスして(気を抜いて?)いました。

 関西大学の皆さんの気持ちの良い笑顔のサポートが、不便を相殺してくださいました。ありがとうございました。

 一番印象的だったのは、西條先生がタフだったことです。長時間疲れも見せずに講義を進め、各班の進捗に合わせて議論にコメントし、迷っている方向性を導き、できるだけ全員が「質的研究法」に近づけるように配慮されている姿勢が一番勉強になりました。

 内容に関することでは、GTA、MGTAの概略が学べて良かったです。4月に大学院に入って質的研究法を学び始めたところですが、本だけではわからなかった部分が明確になり、今後使っていけるのではないかと思えました。また私が考えていたGTAの理解がそれほど間違っていなかったことも確認できました。

 SCQRMに関しては、まだ学びの緒についたところなので何とも言えませんが、自分にとっては比較的なじみのある考え方なので、それほど難しく感じるところはありませんでした。後は自分のものとして説明できるだけの理解を手にできるかだと思いますが、それはこれからの勉強次第だと思っています。[大学院生]



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 これまでGTAを学んだことがあったが、どこか釈然としなかった。今回、WSに参加して、SCQRMを学び、体験することで理論の整然さに驚き、しっくりとくることができた。それのみならず、質的研究の楽しさも味わうことができた。ぜひ自分の研究に活用したいと思う。

 また、研究のみならず考え方の枠組みを新たに得たようで言い知れぬ喜びも感じることができた。さらには普段接することが少ない他分野の方々と共に学び話すことで非常に楽しくWSを進めることができたと思う。今後の自分のリソースを多くかつ深く得ることができた。

 量的研究も質的研究も同じ構造構成主義のもと科学的に説明ができる点が非常に面白いと感じた。[医師・大学院生]



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 何となくわかっていること」を質的研究のフィルターを通して明確にしていくプロセスを経験し、質的研究の醍醐味を体感できました。

 以前に質的研究の論文を書いたことがあったのですが、方法論に縛られて「これでいいだろうか。」と自問することが多かったように思います。今回、ワークショップに参加させて頂いて、認識論を明確に意識することで、方法論的な自由度がかなり高くなり、研究を楽しんで行えそうな気がしてきました。

 質的研究に限らずなのかもしれませんが、リサーチ・クエステョンをいかに立てることができるかによって、その後の展開に大きな影響を与えることを学ぶことができました。



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 普段、一人でテキストデータと向き合い分析をしているので、他者と共同作業をしながらそれをすることに新鮮味を感じた。一番の醍醐味は、分析結果ではなく、グループメンバーとの議論だったように思う。議論を重ねることによって、アイデアが昇華していく様をメンバーと共有した時間は、かけがえのないものであった。また、西條先生も各グループと適度な距離を保ちながらも、困ったときには常に的確なアドバイスを下さり、大変参考になった。

 上記した、グループメンバーとの議論は一番印象に残った経験であるが、他に感じたことと言えば、グループメンバーが実施したインタビューと自分が実施したインタビューでは、同じテーマ、質問でもこんなに違うものかと驚いたこと。インタビューでは、対象者と調査者の間に微妙なかけひきが繰り広げられることがある。その際、それぞれの調査者の「持っていき方」、「つっこみ方」が異なると、同じ質問で聞いたとしても全く質の異なったデータになったような気がした。改めて、コトバって何だろうと考えた。[大学院生・大学非常勤講師]



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 事前に講義テキストを自分で学んだ上に、実際の研究の流れを演習を通して説明して下さったため、とても理解しやすかったです。特に、これまで経験したことの無い事項(インタビューガイド作成、インタビュアー体験、概念の抽出、構造図作り)を実践しながら学べたのが、印象強く、大変いい学びになりました。また、先生からご提供頂いた、発表用のパワーポイントもとてもわかりやすく、今後の自分の研究発表用の参考になる貴重な資料となり、感謝しております。

 質的研究の手法を学ぶ際は、経験豊富でしかも理論的なスーパーバイザーの存在が不可欠であると常々考えておりましたが、今回はそのような先生が、適宜助言を加えながら丁寧に指導して下さっていたので、大変有意義な時間を過ごせたと喜んでおります。

 同じグループに入ったメンバーのバックグラウンドがそれぞれ異なり、多様な意見が出ていました。普段の生活や自分の体験、学習だけではなかなか出ない発想も数多く得られ、そこから受ける刺激が沢山あったので、質的研究を今後行っていく上でのいい経験になったし、励みにもなりました。[大学教員]



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 わたしは研究者ではないのですが、SCQRMの本を以前から読ませていただいていて、こういった授業を実際に受けてみたいと思って参加しました。初学者も対象にしているとのことでしたが、自分がついていけるのか、他の方たちと一緒に研究を進めることができるか、参加前からとても不安でした。

 ワークショップが始まってみると、そこには いろいろな世代の、様々な立場の方が参加されていて、皆さんに共通して感じられたのが「学ぶ」ということに対する、とてもポジティブな姿勢でした。気がつくとワークショップを楽しんでいる自分がいました。そういった方々と一緒のグループで研究に取り組んでいくのは、とても楽しく、実り多く、他ではまずありえないだろうと思えるほどに充実した経験でした。
 志のある方たちと過ごす、愉しい学問の時間でした。

 社会人になってから、純粋に「学ぶ」ということを、こんなに必死に(笑)4日間朝から晩まで続けたことはないように思います。そしてそれがこんなに楽しいことだとは、参加前には想像もしていませんでした。普段はの生活ではまず経験できないような、貴重な時間だったと思います。

 SCQRMの本に書いてある内容以上に、実際の講義には目からうろこな内容が盛り込まれていて、質的研究法を学ぶだけではなく、日常にも役立つようなお話もたくさんお伺いできたことも、とても良かったと思います。
 またこのワークショップに参加するまでは、質的研究がどういうものなのか、よくわかりませんでした。ワークショップ前に、質的研究の本をいろいろ読んでみて、質的研究って、そのコトバを語っている人のストーリーを見つけることなのかな?って思っていました。

 4日間、コトバについて、そしてそのコトバが出てくる意味について、ひたすら考える作業はとても楽しかったです。それは私たちが普通の生活でもしている、人の気持ちを思いやるということと似ていて、質的研究っていうと難しい感じだけれど、生活の延長線上にあるものなのだなあって感じました。

また、質的研究のメソッドを教わることを通して、"より開かれた心を持って、自分を取りまく世界と柔軟に接していく方法"を教えていただいたような気がします。このワークショップ自体が、とても"質的"に充実したものだと思いましたが、その価値をどこに発見するかはきっと自分次第で、それはそのまま、物事に意味を見出していく、質的研究のありようと似ているのではないかと思いました。[大学事務職]



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 「質的研究に挑戦してみたい。本を読んでいる分にはできそうだけど、実際にやってみたらなかなかできひんのやろうな」そのような印象をもって、行動を起こさずにそのままになってしまっていたとき、偶然、見つけたワークショップの募集のお知らせ。直感的に事務局にメールを出して、受講料を振り込んで… 当日までにはとにかくテキストを読むことを自分に課し、質的研究にかんしてはテキストの情報以外はまったくないといっても過言ではない状態で望んだワークショップ。

 ふたを開けると、大学の教員の方までいらして、場違いな空気に飲み込まれそうになりました(実際、飲み込まれていました)が、西條先生のお人柄や独特の空気感も手伝って、非常に和やかな雰囲気のなか、教員も学生もほとんど関係なく、普段専攻しているテーマも分野すらもまったく違う参加者のみなさんと一緒に悩み、考え、実践できたことはなにものにも変えがたい貴重な経験となりました。

 実際に経験してみること、挑戦してみることの大切さ。自らの仮説にとらわれすぎない多角的な視点をもつこと。そして、何事も関心相関的に考えるということ。それにつきるように思います。[大学院生・社会人]




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