2009年1月18日日曜日

第三回質的研究集中ワークショップ感想集



2008年10月25日(土)、26日(日)、11月1日(土)、11月2日(日)に早稲田大学で開催された第三回質的研究集中ワークショップの受講者の感想集を掲載させていただきます(*お送りいただいた中で「掲載可」のものを全文掲載しております)。

アンケートのご協力いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。


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このワークショップ(以下WS)は、西條先生の教えを受けたい、真に質的研究を学びたい、構造構成主義とは何か、その真髄に触れたい、といった熱い思いが参加者全員からあふれているという印象をまず感じました。これが4日、延べ36時間余にもわたるハードなスケジュールだったのにもかかわらず、最後まで一同の士気が落ちなかったこと、各自が自分勝手に突き進むことなく全員が全体を思いやる雰囲気が保たれた大きな理由だと思いました。

さらに、そこには西條先生の独特のパフォーマンスが果たした役割も大きかったと思っております。先生の講義は、始め方も終わり方も独特なゆるさがあり、語り口も一見とりとめがないように見える独特なもので、はりつめた雰囲気も満々のやる気なども感じることはなかったのにもかかわらず、ノートをとっていくとその語りには大切なエッセンス(キーワード、キー概念)がちりばめられていることに気づき、まるで合気道で投げられているような印象を受けました。(もっとも、それがキーワードだとわかったのは、指定テキストの予習の成果だと自負しております。が、元をただせば、そのテキストが分かりやすく書かれていたお蔭だということで、最初から先生には一本取られているのであります。)

加えて、先生は受講生達を正視されることが稀で、一部を除き受講生とはほとんどアイコンタクトをとっておられなかったにも関わらず、結果としては私を含め受講生の心としっかりコミュニケートされていることにも(学習者とのアイコンタクトをとり一人ずつに語りかけよ、と擦り込まされている日本語教師の一人としては)、ああ、この手もありなんだ、と唸らされもしました。やわらかな雰囲気に疲れを癒されながら、論理の世界に遊ぶ自由を得られたことはまたとない貴重な時間だったと思います。「学習者と教師は授業を通してどのようにコミュニケートするのか」という研究課題も立てられるかも、と思っているほどです。

学びの面については、体験したこと全てが意味あるものになったことに充実感をおぼえております。これは班のメンバーが、それぞれに一定の研究経験がありことに加え、人柄的にもこうした話し合いのルールを暗黙のうちに尊重される方々で、お互いが出し合う考えを受け止め合いながら深めていく形で意見交換ができたことが大きかったと思います。

それだけに議論は簡単には収斂には向かわず、放っておけばいくらでも話し合いを続けたかもしれません(それを思いとどまらせ得たのは、「空腹感」と「疲れ」のみだったように思われます)。その結果、班としての発表のまとめ(パワーポイント)は、タイムアウトで思ったことの何分の一かしか示せ得なかったのですが、そのベースとなった真の中身をそれぞれが持ち帰れたかと思います。仲間に恵まれたお陰で、こういうような、多くの者で論を詰めていくという過程を久しぶりに味わえたことが私にはこの上なく貴重な時となりました。

以上が全体的な感想ですが、具体的な場面に関することとしては、以下のようなことを思いました。

データに基づきRQを常に念頭に置きながら、概念を引き出し、カテゴリーへとランクアップしていく作業は体験してみないと、「どこに迷うのか」自体がつかめないものです。自分が取りだしてみたものが全般的に抽象化しすぎていたことを思うと、概念抽出の部分はもう少しリハーサル(全員でトライして結果を比較し合う)体験が組み込まれていてもいいのではないかと思いました。

それから、先生がアドバイスで要所要所で指標となるモデルを提示をしてくださいましたが、結果を拝見してなるほど!とは思いますが、では先生が頭の中でどういうプロセスでそれを抽出されたのかはブラックボックスになっているところが多かったので、もう少し解説していただけたら、これも今後自分が分析していく上でかなり参考になったのではなかったかと思われます(もっとも、自分で試行錯誤してやっていくしかない、と突き放されそうですが…)

総じて、冒頭のアンケートでも選択したとおり満足しており、「2万円が惜しくない!」と心から思えるWSでした。関心ある方々には「ぜひ!」とお勧めしたいと思っております。

[大学教員(準教授)]・関心専門領域[日本語教育]


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 西條先生の軽妙なトークもさることながら、人文科学や法学、看護学、生物学(!) などといった広範な学問背景をもつ教員や学生が集ったことによって学際的な議論が可能となり、実に自由な雰囲気の中でワークショップを体験することができた。すべての参加者が質的研究に対する「飽くなき探求心」をもって講座に臨んでおり、こうした参加者の姿勢に刺激されつつ、自分の好奇心も満足させられたお得感満載のワークショップといった印象です。

■ワークショップの形式(グループワークについて)

 学問領域だけでなく、質的研究の経験も職位(職業?立場?)も異なる6人が1つの作業を行うグループワークは初日こそ不安感をおぼえましたが、作業を進めるにつれ6人の個性的なメンバーが機能的に役割を果たしていることに気がつき、そこからは一気に「作業の効率化」が図れたと思います。

 自由闊達に自身の考えを述べられることで議論が深まり、深まった議論からより豊かな概念が抽出されるといった循環が生まれました。この点で、私たちのグループワークは成功したと思いますし、この質的研究ワークショップをグループワークで行う試みも成功していたと思います。


■講師の教え方

 無駄のない教え方が好きです。

 研究は「手続きやお作法」が大切なのではなく、現象を説明する理論を構築する作業であって、その理論をどれだけ説得性をもって伝えられるかがモンダイなんだよという当たり前の、だけど「誰もかれもが研究者」となっている業界(!)ではその手続きやお作法こそが大切にされている本末転倒な状況をバッサリと斬ってくださり、心がスッキリしました。


■特に印象深いこと、特に学べてよかったこと

 収集したデータを見渡したあと、いったん思考を飛躍させてとりあえずの理論を作ってみて、そのあとでデータに戻り細部を詰めていく作業もまたデータに立脚した理論構築法であるという点が印象的であり学べてよかった点です。むろん、私には西條先生のような学問的センスがないので、なかなか一発で理論を見出すことはできませんが、それでも自分の目で現象の本質をみているからこそ(私なりの)RQを立てることができるのだと思っています。

 ですが、そうした作業を「思い込みだ!」とか「先入観をもって研究に臨んではイカンのだ!」といったもっともらしい語り口で否定する流派(?)があることもまた事実です。私はそれこそ「思い込みや先入観(あるいはすでに頭の中で見え隠れしている理論)」がなくっちゃ研究の緒に就くことはできないのになぁ~と、このmisunderstandingに心を痛めて参りましたが、とりあえずの理論を洗練させ、いかに妥当性をもって説得できるかが質的研究者の力量であり勝負ドコロであると思い直すことができました。

 センスは一朝一夕には磨けませんが、まずは、量的研究の枠組みにからめとられない必勝いいのがれ法(笑)をあみださねば…と次の目標ができました。

 「データの切片化」という作業に何の魅力も感じず、むしろ「余計わかんなくなっちゃうじゃん(涙)↓↓」という疑問の気持ちをもっていたのですが、西條先生のお話を伺って、なるほどこの手続きを踏んだことですべてが赦される(ちゃんと研究していますの証がもらえる)のだったらそれはそれで価値があるのだなと思いました。

 ですが、全体を通して感じたことは、スクラムの質的研究法は万人が遂行できる作業ではないなということです。学問的素養や、現象の本質を見極める能力があることが予め措定されている研究法で、成功するか否かは学問的センスの有無に大きく依拠している手法だからです。だからこそ、自分の限界を知って取り組まなければ大きな間違い(恥ずかしい独りよがりの結果)を招いてしまうことを肝に銘じておく必要があると強く感じました。

[大学講師]・関心専門領域[医療人類学・母性看護学]


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<ワークショップの形式と内容について>
 講義およびグループワークのバランスが取れて、時間配分も適切だったと思います。受講者としてのわがままを言えば、もう少し、概念生成に時間をかけて丁寧に行いたかったという思いもありますが、理論生成までの全体の流れを網羅することが目標でであるとすると、満足いく形式・内容であったと思っております。


<グループワーク・参加者>
 グループ編成に関しては短い時間の中、西條先生の方で質的研究の経験の有無を考慮して編成を行ってくれたこと、大学教授なども参加されていることを考慮し、事前に「上下関係は関係なく、平等な立場でグループワークして下さい」と言ってくれた点は良かったと思います。


<講師の教え方・印象深いこと・特に学べてよかったことなど>
 西條先生のゆっくりとした語り口に最初は戸惑うこともありましたが、事前に前回のグループワークの感想をHPで読んだところそのような事が記載されていたので、実際の西條先生のご様子を拝見し納得で聞きました(笑)。そのゆっくりとしたでもおしつけがましくない先生の教え方に、とても共感を覚えました。

 印象深かったのは、先生が飾ることなく、疲れた時は疲れた顔をされる(笑)など、対人間らしいワークショップだったという点。そんな先生の人柄に皆、親近感を覚えたのではないかと感じました。先生が前回の反省を踏まえて必要なものをそろえたり、考えていらっしゃる手作り感も魅力的でした。アメニティ、環境がきちんと整えられていることは受講者の満足につながるとは思いますが、みんなで協力しながら片付けや準備をするという過程も、グループ全体の結成力、WS全体の雰囲気を作り上げていく大切な課程であったと感じました。

 先生の著書を拝読しただけでは分からなかった、理論生成までの過程を知る事ができたことが大きな学びでした。MGTAをベースにしているものの、決して方法論に固執するのではなく、常に関心相関性を持ちながらすすめていく重要性、質的研究における柔軟性というものを教えて頂いたと思います。実際にこの学びを自分の研究に生かしていくことは難しいと思うのですが、WSに参加した事により研究への新たな原動力を頂けたことは私にとって大きな学びとなりました。

[大学院生(博士課程)]・関心専門領域[看護学]


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先生のワークショップ開始がゆるくてほんわかしていたので、どんな感じになるか見当がつかず、修士論文提出期限まであと1ヶ月半という時期に参加してしまったということもあり、参加してすぐに、全体が見えないことに対してすごい苦しくなりました。(でも最後はHappy Endでした)

一応、今回のワークショップ参加の目的は、ワークショップの案内にあったように、先生が重視されているリサーチクエスチョンを立てるところから発表までの質的研究の一連の流れを知るということ以外に、もう1つ、SCQRMに基づく構造構成主義M-GTAの活用法について知るということでした。

先生が提示された『ライブ講義 質的研究とは何か』のベーシック編・アドバンス編両方目を通しましたが、この2冊では根幹にある構造構成主義が良くわかりませんでした。だから構造構成主義でのM-GTAの立ち位置を知りたかったのですが、それについてはあまり説明がないまま、グループワークに突入してしまったから苦しく感じたのだと思います。(もしかしたら、木下先生のM-に引きずられすぎてしまって、頭の切り替えができなかったからかも)

『とりあえずやる』というのがきっと先生のモットーだと解釈しました。受け身の姿勢はいかん!と自分に喝を入れてとりあえず始めましたが、最初は本当に不安でした。

しかし、グループメンバーに大変恵まれたので、苦しい状況を乗り越えられました。1グループの皆さん、本当にありがとうございました。知らない人が集まってすぐなのに、同じような目的をもった人たちの集まりだったこともあり、年齢とか性別とか関係なく活発なディスカッションができたし、一致団結するのは早かったと思います。だからこそ、乗り越えられました。

ワークショップの全体的なイメージは、『とにかく自分でやってみて、感じて、つかみとれ!! 』です。

先生は爽やかさんで、混沌としている作業現場にすーっと現れ、そのつど方向性を示してくださいました。でも、それに頼り切るのではなく、結局は自分たちで混沌としたところから1つの流れを作っていかなくてはいけないということに気付き、その流れを作り出すのにグループメンバーさん達とすごい頑張りました。

そのように頑張って気付いたことがもう1つ。先生の爽やかな物言いのせいで惑わされてしまいましたが、4日間でリサーチクエスチョンを立てるところから発表までの質的研究の一連の流れを体感するということ自体、相当高いところを目指していたということです。


分析作業途中、先生のおっしゃっている「飛ぶ」がわからず、さらに苦しい思いもしましたが、最後はグループメンバーさん達のおかげで、「飛ぶ」感覚が何となくわかった(気がした)のが、今回のワークショップでの最大の収穫です。

『苦しい』とか『不安』とかネガティブな形容詞を並べましたが、なによりグループメンバーさん達に出会えたことと、その方々と一致団結して1つのものを作り上げるという体験は、楽しいを超えてちょっと快感に近い感覚でした。 これは、「飛ぶ」感覚以上に貴重な収穫でした。開催から終了までの1週間は本当に楽しかったです!

このような経験ができたのも、先輩が誘ってくれたのが直接のきっかけではありますが、なにはともあれ先生がこのワークショップを開催してくれたおかげです。本当にありがとうございました。アドバンス楽しみにしております。

[非常勤看護師、修士課程2年]・関心専門領域[看護]


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 4日間の集中WSということで、参加する前は、途中で眠くなって居眠りをしてしまうのではないか(たいていの講座ではそうなりますので…)と危惧していたのですが、自然と課題に集中でき、長時間にも関らず、緊張感が適度に保てるWSでした。先生もまめに連絡をいれてくれたり、自らお茶の準備をしたりされていたので、参加者としても気が抜けない感じでした。

 グループワークを進めていく中で、RQを立てる、質問項目を考える、テクストから概念・カテゴリーを立てる、理論を作る、など、それぞれの段階で話が煮詰まる事が多かったのですが、その都度、質問するたびに、先生も同じ立場で「こういう風に考えられるのではないか」と示唆し、考え方・取り組み方のモデルを示してくれたので、大変参考になりました。しかし、実際にやってみると、やはり、難しいなあ…。

 先生のよくおっしゃっていた「とりあえず」という言葉には救われました。いつも「こうしなければならないのか?ああしなければならないのか?」とついついベストをめざして(あるわけないのですが…)逆になかなか考えや実行が進まないときがありました。しかし、「まず、このように考えてみる」と、先に進むための一歩を踏み出すことが気楽に、しかも効果的にできることにつながっていく気がしました。

 また、「考える事を止めない」という事も大変参考になりました。手を動かし書いたり、イメージを図にしてみたり、色分けして視覚的に捉えてみたり、ということが考えるのに役立つ事がわかりました。さらに、なんといっても、考え方の主軸となっていた「関心相関的に」ということが、職場での議論や日常生活上でも活用されると、もっとコミュニケーションがしやすくなり、よりよい仕事ができたり、日常生活への満足感が高まったりするのではないか、と思われました。

 グループワークでは、先生が自分の考えを押し付けることなく率直に話されるので、参加者も自然と、お互いの考えを他の人の考えも尊重しながら、フランクに話し合う事ができていたのではないかと思われます。また、ワークショップの原則を最初に話され、参加の仕方の方向性を作られたこともよかったと思います。

[作業療法士]・関心専門領域[地域づくり、認知症支援・認知症予防]


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 勢いで申し込んで、はるばる出かけてみましたが、予想もしなった充実感が得られ大変満足しています。

 私は現場の看護師で、しかも専門学校卒、しかも臨床経験が少なく、しかも看護研究はふた昔前に1例のみという他の参加メンバーとはとても同席できる状況ではなかったのですが、今回は班のメンバーに恵まれ(1班)、自分の目標は達成できたと思います。

 そもそも、ワークショップに行くきっかけは、7月に、ある在宅医から日本在宅医療学会への症例発表をすすめられ、ちょうどそのタイミングで怪我のため休職したので、看護研究の本を読み始めたことでした。この長い夏休みの学習で、質的研究のことを考える人がこんなにいるんだということに驚くと共に、先生の本を読んだり、名古屋大学の研究会に行ったり、ネットサーフィンしたりしました。


1、グループワークで、チームワークや自分がメンバーとして前向きに関わる大切さを再確認できた。 

  今日もまた、メンバーから写真などが送られてきています。班の人たちと仲良く出来たことは本当に良かったです。分野やレベルは違っても、質的研究に取り組む仲間がいるということがわかり、私も頑張ろうという気持ちになりました。


2、本に書いてあることではあるけれど、質的研究を実際に行なうことで、それぞれの作業のポイントがわかった。

RQを目の前に書いておき、研究の関心からずれないようにすることは、研究の間中行なっていて、皆の意思統一が出来ていたと思う。マーカーを使うとか、インタビューのコツとかいろいろ。


3、質的研究の可能性・有効性(必要性)を確認できた。

質的研究を聴衆の納得を得られる内容にするには、哲学レベルからの理解が必要だと思いました。ただ、これは研究をする際にだけでなく、日々の人間関係や生活にも生かせる視点であることも少しずつ感じていますので、もうしばらく頑張ってみたいと思います。


4、「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ」by 青島刑事:踊る大捜査線

   今回、私のような者が、研究者や院生の皆様と同じ教室にいたことに違和感を感じた方もいるかもしれません。実際過去の感想を見ると、受講者のレベルを統一して欲しいという意見もありますね。
 
   しかし、私は現場の人間が使えない、理解できない理論や方法では現場の感動を伝えられないと思うのです。先生の方法は、概念のまとめ方や、モデル図作成時のジャンプが結構大変ですが、見た目の分かりやすさや根拠が明確といったところが受け入れやすいと思います。また、継続研究として継承できる、次につなげることができるところに面白さ・有効性を感じます。


5、ワークショップ参加目的でかなわなかったこと。

 もう一つの私の目的は、このワークショップ参加者から、スーパーバイザーになってくれそうな人をハンティング(笑)することでした。うちの事業団の量的研究では、日本福祉大学の方が関わっている様で、上司を説得するためにも、共同研究者、もしくは指導者を探す必要があるのです。自分の興味の対象やフィールドがあるのに、私も組織の一員なので、自分の興味だけで動けないところが歯がゆいところです。

 今回、グループの人の研究興味は知ることが出来ましたが、他の方の話も聞いてみたいところでした。たとえば二日目のはじめなどで、自己紹介をする機会があれば、興味対象が近い人などとコンタクトも取りやすかったかと思います。


 今回のワークショップは本当に楽しく、充実したものでした。散漫な文章となってしまいましたが、先生に感謝の気持ちを伝えたいと思います。臨床でもそうですが、若い研究者が真摯に頑張っている姿は、年長者にもいい影響を与えます。すがすがしい気持ち、遠くにすぎてしまった研究に熱中する気持ち、とりあえずやってみようという前向きな気持ち、そういったものの大切さをあらためて実感し、名古屋に持ち帰ることが出来ました。ありがとうございました。

 先生にはお忙しい日々と思いますが、お体に気をつけてお過ごしください。 また何処かでお話を伺えることを楽しみにしています。 

[訪問看護師]・関心専門領域[看護]


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 最初、先生の独特な間の話し方に戸惑ったが、今思うと、あの緩やかな雰囲気が気を張らないで取り組めばいいということにつながったのかなあと感じる。西條先生の関心相関的理論構築と木下先生のM-GTAとの概念生成の違いを説明してもらえたので、理解が深まったし、どちらがいいというよりは、色んな方法があり、目的や得意不得意によってどちらのやり方も有効になりうるということを知れたのがよかった。

 5班は、年配でキャリアのある参加者も多かったので、「若い人に」と言って、役割が与えられて戸惑うこともあったが、勉強と思って取り組んだ。あの時は押し付けられた感があったが、今思うと、あまりにもRQやインタビューに入り込んでしまった人よりは、そうでない人の方が発表する時に人を傷つけないでいられるのかもと思い、インタビューイーに対する配慮であったのかもしれないと思い直した。

 メンバーがそれぞれ自分の考えをよく話していたと思う。ぶつかるときや停滞するときもあったが、それは生みの苦しみだったんだと思う。

 理論構築に関しては、まずまずいいものができたと思うのだが、プレゼンで人にちゃんと理解してもらうまでに至らなかった。自己完結しては理論構築した意味が半減するので、人に伝えることの大切さを改めて思い知った。

 他の班の理論を知ることができて、いい刺激になった。また、自分の語りを分析されるというのは、かなり恥ずかしいことも知った。自分の体験や語りを批判されるようなことがあると、インタビューに協力したことを後悔することになるので、自分がインタビューするときや論文発表の際には注意しようと思った。

全体を振り返っても満足度の高いWSだった。

[大学院生]・関心専門領域[がん看護]


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· 4日間集中してグループの人と協力し、真剣に考えて知的作業を行い、ミニ理論を作成するという経験自体が貴重でした。熱い、楽しい、といった情動的なプラスの経験であることで、自分の成長につながると感じられました。

特に、同じグループの方々が目的意識をきちんと持ち、協力してやろうという思いをしっかり持った方たちばかりだったので、とても助けられました。グループ編成は、質的研究経験者とか、PCを持っているとか、参加目的や年齢・性別などで予め分けておいて頂く方が良いのかもしれません。

· 流し読みながらも、テキストを読み、「研究以前のモンダイ」を購読し、自分なりにMGTAを経験したことがあったので分かりやすいと感じたけれども、初めてであればニュアンスの理解が難しかったと思う。またグループ内に、作業過程でMGTAの方法を理解して牽引する人がいないときついと思いました。

· 構成構造主義についても、MGTAについても、各1~1.5時間位の概論の講義が必要ではないかと思います。特に前者について最初に聞いておくことで、これから取り組む作業の意味が深まるのではないかと思いました。

· 西條先生の自己紹介が最初にあったらよいのではないでしょうか?研究されてきている内容などを良く知らない人がいたら、もったいないと思います。著作についても簡単なコメント付きで紹介してもらえると、売り上げも上がるでしょうし!関心も高まるのではないでしょうか?

· 僕自身はこれからMGTAを用いて卒論を書こうとしているところです。自分の以前行ったMGTAの方法や理解が大きく外れていないことの理解になった一方で、理論生成の上でヒラメキのような飛躍を必要とすることや、それを意識化して行うこと、理論生成までの行きつ戻りつのプロセスなどをよく理解することができました。

[作業療法士]・関心専門領域[身体障害・老年期障害の作業療法]


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全体の印象・雰囲気としては、各グループでとても熱心にワークショップに取り組んでいたと思いましたが、最初に先生が参加の仕方について念入りに説明されていた訳もよくわかりました。

ワークショップの形式は、話し合いの人数、指導体制やプレゼン状況から5グループは適当で、会場も十分だったと思います。内容としては4日間であまりに密度の濃いものでした(体験して改めて感じました)が、RQの設定から始まりプレゼン形式の発表まで含められていたのは、達成感はもちろん各グループの内容理解のうえでも有意義で、ワークショップの満足度が高まりました。また中間発表があったことは、段階的に振り返ることと他のグループの内容理解に役立ちました。

参加者は様々な分野の方が集まると聞いていて、どんな内容のRQになるか、どんな出会いができるか、とても楽しみでしたが、期待以上の体験となりました。

グループワークとして、自分のグループは同年代で構成されていたせいか意見交換がとても行いやすく、良いチームワークで進められたと思います。話し合い自体は、各自が出てくる意見に常に耳を傾け、意識的に受け入れ考えながら進めていけたのですが、それでも各々の意見を十分に尊重し、すり合わせてまとめあげるのは大変でした。

また、まとまっても方向性として妥当かどうかはわからなかったので、そのようなときに講師の先生に指導をお願いし、軌道修正しながら前に進めることができました。作業については各自が積極的にアイデアを出し合い、誰かがリーダーシップをとるというのではなく、自然に発生したお互いの役割への認識や信頼感を高めながら進められ、発表まで協力しあえたと思います。他のグループの参加者とも空き時間や打ち上げで接することができ、このワークショップの楽しさと難しさをさらに実感しました。

講師の先生の教え方は、本をさらに噛み砕いて説明してくれたり、新たなわかりやすい例えを提示してくれたり、また参加者からの質問にも丁寧に答えてくださっていて、それによってさらに理解を深めることができました。各グループでの質問・回答も必ず全体で説明してくださったので、自分がどう質問していいかわからなかったことや、気がついていなかった疑問にも気がつけて解決できました。

グループワーク中はグループの進行度に合わせて回ってきて下さり、来られた時には腰を落ち着けてメンバーの意見を聞きながら、メンバーが先生に頼りすぎない範囲で熱心な指導をいただけたと思います。どんなときの説明も必ず原点に立ち返り、繰り返し平易な言葉で本質がぶれないように言ってもらえたので、グループワークの途中で見失いかけた羅針盤をまた見つけて進んでいく感じでした。

特に印象深かったのは、インタビューの難しさです。インタビューガイドをつくるときあれだけ誘導にならないようにと考えたのに、実際のインタビューの中では相手の話に自分の解釈を押し付けていたことが、テクストつくりながらわかりました。また、同じ言葉でも自分とインタビューの相手とのとらえ方が違い、質問の意図が伝わりにくいこともあるとわかりました。反省は今後のために大いに活かそうと思います。

インタビューを受ける側も経験し勉強になり、また自分が話したことが含まれたモデル図を示されるのはかなり気恥ずかしかったですが、逆に、この体験はそういうものだったのかと新たな目でながめることができ、大変参考になりました。

特に学んだことは、質的研究を進めていくということは、常にRQを問い直すこと、常にデータを見つめ直すこと、変化を恐れないことなんだ、ということです。

本を読みながら、また講義を聴きながら1つ1つ腑に落ちていく感じは、頭で理解するというよりもむしろそれを捨てたもっと感覚的な理解に近かったです。本来自然に流れている思考でありながら無意識に沈んでいたものを意識の上に乗せたとか、本にはこう書いてあるけどホントのコツはコレと今まで経験知として捉えていたものを、本来の筋道として意識的に使えるような形にして示してくれているように思いました。

今まで質的研究や理論はどこか「たいそうなもの」「難しいもの」と身構えていましたが、研修の中で何度も「理論は現象を説明するためにあるもの」、理論は「料理」のようなものと聞いて、すんなり取り組めそうな気になれました。日常生活の中でも、日常会話レベルでも、情報伝達するときには経験や考えをうまく言い当てる言葉を探したり、それらを関連づけてその人なりの見方を示したり、概念化や理論生成に近いことを個人レベルでは日常的に行ってるのかなとも思いました。

研修を終えて、なかなかわからなかった質的研究の森の入口にやっと立てたような気がします。研修に参加し貴重な出会いがいくつもありました。これから共に切磋琢磨する仲間になれるように、大事にしていきたいと思います。

   西條先生と、参加者の皆様に、感謝感謝です。

[大学助教]・関心専門領域[がん看護学]


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今回のワークショップには、質的研究を実際にどうやっていけばよいのか、体験的に学んでみたいと思って参加しました。

私自身は質的研究をこれまでにやったことがなく、また当日参加していた方々も年齢・立場・経験が様々な方が来ていたので、最初グループワークをやっていくことに少し不安もありましたが、西條先生が、グループ分けの段階から細やかな配慮をして下さったり、「みんなで協力してやること」「疲れるのでおやつを食べながらやったほうがいい、時には寝ることも大事?」など、ユーモアたっぷりに全体の雰囲気を作ってくださり、4日間和気藹々とした雰囲気の中で進めて行くことが出来たと思います。

ワークショップは、西條先生の講義を要所要所に挟みながら、グループワーク主体で進みましたが、事前にテキストを読んでくることが課題となっていたので、今作業のどの地点にいるのかを確認しながら作業を進められたことがよかったと思います。特に、リサーチクエスチョンや理論モデルを洗練させていく過程は、本を読んで大変そうだなと感じていた点でもありましたが、私たちのグループも実際にリサーチクエスチョンを変更せざるを得ない状況に陥ったり、理論モデル作成の段階ではかなり難航しました。

しかしながら、その経験を通じて、関心とリサーチクエスチョンがずれていったときにいかに修正して行くのか、その時の考え方のコツとして「問いの立て方が構造を作る」ことを意識する重要さを学ぶことが出来たと思います。

グループワークの作業は、意見をすり合わせて行くことの難しさも時に感じながら、一人で考えていては行き詰ってしまうようなところを何度も越える体験があり、グループで作業することの面白さを感じました。また、他のグループの発表を聞くことも、その試行錯誤のプロセスから学ぶことが多くあったり、最後の発表の内容に興味を惹かれたり、理論モデル作成の視点やアイデアに感心したりと、いい刺激を沢山もらったと思います。

西條先生は、全体を満遍なく回られて、グループの中に入って流れをチェックしたり、思い切って修正を手助けしていただいたりしましたが、そのペースが心地よく、自分たちで考えを煮詰めていきながら、ポイントとなる所で手助けをいただくことが出来たなと思います。

また、たとえ話を使って説明してくださることが多かったですが、その例えが日常感覚からきているというか、とても分かりやすくてかつ面白く、体験を構造化していくところの実践を見せていただいているような気がしました。

また、実際のデータから理論化のところへは、ある種の飛躍が必要であるという部分に関しては、他の受講生からも質問や、「飛べない…」という切実な訴え(?)が出ていましたが、その質問からまた理論化のコツや、日常感覚の大切さという部分を丁寧に講義してくださり、その場に集う受講生の関心から、講義が作り出されているダイナミックな感覚を味わうことができました。その疑問に対しての回答も、腑に落ちるというか、正しい方向というものに対する展望が得られた感覚がありました。

特に印象深かったことは、リサーチクエスチョンを立てたところから、データをもとに理論化する段階で、何回かの質的飛躍が生じるポイントを体験できたことです。最終発表のところにまとめて行く段階が特に大変で、一時は本当にまとまるのかとも思いましたが、まとめて行く段階で新たなアイデアが出てくることを実感しました。最終的にまとめていく段階は本当に時間との戦いで、課題もたくさん残ったと思いますが、とにかく研究を最後までやりきったということに充実感があり、いい経験となりましたし、ここで学んだコツを今後生かしていけるよう頑張りたいです。

特に学べてよかったと思うことは、質的研究のやり方が体験的にわかったのはもちろんのこと、それ以上に研究を進めて行く上でのコツをたくさん学べたことです。それは、このワークショップを受講して一番良かったと思っている点で、ワークショップが終わった現在、気分転換をすることや、楽しく研究をすること、また自分の研究を人に話したり、色ペンを使いながら構造化してみるなど、いくつかのコツを意識してやってみるようになり、それは「研究」と「自分」を繋いでくれる、大切な経験となりました。

今後アドバンス編の開講も考えていらっしゃるということでしたが、それは自分の研究を持ち寄ることができるということで、またぜひ参加したいと思っていますし、またそこで生まれる新たな発見が楽しみです。

また、このワークショップを通じて立場や職種が違う人との交流をたくさん持つことが出来たこともよかったです。質的研究を学びたいと思ったきっかけ、動機もさまざまながら、どこか興味の持ち方が似ている、そういう人達と研究の合間や打ち上げのときにたっぷりお話できたことも、とても素敵な経験の1つになりました。色々な意味で、期待以上のワークショップでした。ありがとうございました。

[大学院修士課程]・関心専門領域[臨床心理学]


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WSの形式や内容

・演習を通して経験する点については「身についた」ということが実感できた。

・そのつど演習で経験した後に講義を受ける形式はわかりやすかった。おそらく経験しての疑問や不明な点が分かる位置までの理解ができたからだと考えられる。

グループワーク

・誰も何も言わないがそれぞれの役割ができていてスムーズに演習ができた。

・たまたま気が合うメンバーとの演習であったからよかったが、それぞれの役割の機能などが発揮できなければ、かなり困難なGWとなると思われた。

特に学べてよかった点

・ 新たな気づきは「とぶ」ことであろう。しかし、これは全体やRQを見ながら細部についてデータに戻るといった繰り返しを行うことである。このことを連続して行ったことでRQがぶれずに進めていくことができた。

演習とは別に他の班のインタビューを受けるという経験をしたことでインタビューを受けた後もその影響があることを実感した。インタビューの時間内で言い忘れたことや質問から自らを振り返り、語りに追加したい気分にもなった。これらから考えるとインタビューを1回のみで終了させてきた自分の調査方法も考えなおすきっかけになった。

[大学教員]・関心専門領域[看護学]


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充実した4日間でした。

分析ワークシート作成の部分をもう少し丁寧にやってみたかったです。といのは、暫定モデル作成が「なんとなく」班員の強力で作業が進んで、自分自身は「あやふや」と感じたため。

会場がよかったです。窓からみえる木々がとても素敵でした。

[大学院]・関心専門領域[看護学]


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 こうしたワークショップには初めて参加したのですが、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。

 最初は誰が誰かもわからないような状態から始まったのに、最後終わるときには教室全体に一体感や連帯感があり・・・。4日間の内容の濃さを感じました。(中学生や高校生のときに、学校祭でひとつのイベントをやり遂げたときのような達成感、一体感を感じました。)

 また、先生の教え方が押し付けがましいものでなかったこと、また、自由に発言したり、年齢や立場に関係なく進めていきましょうという雰囲気を作り出してくださったことが、このワークショップ全体に流れる「空気」をとても良いものにしていたと思います。

 私は、質的研究についてはまったく経験がなく、本で読んでも中々わかったという気になれず、さっぱり?な状態の中、ちょっとの知識だけを携えて参加しました。が、やはり「ちょっとの知識状態」での参加を勇気を持って決断してよかったと思っています。やはり、1度流れを経験しておくと、後の自分の研究がとてもスムーズになるし、より自信を持って進められると思ったからです。

 また、最初に入ってきた知識や経験、というのは自分で意識している以上に自分自身に根付くものです。そういう意味でも、先生の考え方、進め方が、質的研究経験における最初の出会いになったことは、自分にとってとても価値のあることでした。

[大学院生]・関心専門領域[音楽、教育、心理]


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・ ワークショップが体験的に理解していけるように組まれていた事はとても良かった。ただ本を読むだけでは得られない実感を伴う理解が出来たと思う。

・ 4日間で発表までを終わらせるためには、グループワークという形式は不可欠であったと思う。6人寄れば文殊の知恵、さらに、智恵だけでなく、モチベーション維持、笑い、おやつ(?)など色々な参加者で構成されたグループならではの効果があった。

・ 西條先生の講義はわかりやすかったです。さらに、グループに回ってこられて頂く具体的なアドバイスは、講義や本の内容理解を促進してくれました。

・ 特に印象深いこと:大学院生はもちろん、これから研究しようかなと考えている人が学びに来ていたこと。

院生は必要に迫られているけれど、「自主的に学ぶ」為に方法を学びに来る、という態度・考え方に感服しました。また、打ち上げの飲み会でご自身が席替えをして満遍なく皆とコミュニケーションをとられる気配りは、「師の後姿」から学ばせていただきました。

・ 特によかったこと:

① 研究の客観性、理論の一般化についてどのように考えたらよいのか、少し道筋が見えてきたように思え

る点。

② 自分の関心と研究の目的をつなぐ方法や研究方法の選択について具体的に学べた点。

③ 質的研究についてわからなくなった時に、相談できる方(先生です!)を発見できた(?)事。

[大学院後期課程]・関心専門領域[臨床心理学]


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 西條先生の独特の雰囲気のもと,とても楽しい4日間でした。

 ワークショップは,とにかくグループワーク三昧で,4日間,自分のグループ以外の方々とはまったく話をする時間がないほどでした(その分,打ち上げで話をしましたが)。参加者の方々は,皆研究意欲が高く,レベルの高い方々で,学ぶことが多かったです。西條先生には大事なポイントを教えていただき,勉強になりました。ただ,もっと先生の話を聞きたかったようにも思います。

 私は質的研究をしたことがなかったので,リサーチクエスチョンを立てるところから,質問項目を考え,実際にインタビューして,テクストを起こし,概念を取り出して,理論を作るところまで,一通り経験できたことが,とても有意義な体験になりました。特に,質問項目を立ててインタビューするところや,理論を作っていく作業などは,やってみて初めてわかることも多く,良い機会となりました。

[家庭裁判所調査官]・関心専門領域[非行臨床]


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