2009年1月18日日曜日

第二回質的研究集中ワークショップの感想集

 2008年9月14(日)・15(祝日)、9月20(土)・21日(日)に行われた第二回質的研究集中ワークショップの受講生の感想集を掲載させていただきます(*お送りいただいた中で掲載可のものを全文掲載しております)。

 アンケートのご協力いただいた皆様,誠にありがとうございました。また開催に協力していただいた関西大学の教員や学生の皆様に改めて感謝申し上げます。


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 学びを中核としながらも、和気藹々とした中で過ごした4日間は、想像した以上に愉しいものとなりました。分野を越え、志を共有できる仲間と出会えたことは、素晴らしい財産を得ることであると思います。

 この様な場を作り出すことが出来たのは、西條先生の持つスタンス?の賜物ではないでしょうか。時間が延長することも多々ありましたが、ご丁寧に付き合って下さった西條先生に感謝しております。

 ありがとうございました。[大学院生] 



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初心者ですので、初めての質的研究体験でした。

理論的背景から、研究の進め方にいたるまで、先生の丁寧なコメントをいただくことができ、目からうろこが落ちるような経験もいたしました。特に、研究の落としどころについての先生のご意見が大変参考になりました。

また、4日間にわたって、グループワークで取り組んだことにより、看護分野の方が多かったですが、他の分野の方々との交流ができたことも大変プラスになりました。

あとは、自分で実践してみないといけませんが、日常業務に取り紛れてなかなか学んだことをすぐに生かせないでいます。ワークショップで得たわくわく感が新鮮なうちに、研究を進めなければ。いい刺激になりました。

アドバンスコースも是非、期待しております。[大学教員]



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 とても楽しかったです。グループのメンバーは、年齢、性別、居住地すべて異なり、また心理学、社会学、教育学と異なる専攻の研究者(陰性を含む)でした。個人背景や学問領域は異なっても、グループの人たちはどこか同じに思えました。同じ思いを持つ人との出会いは心強く、自分の進み方が間違っていないという気持ちが湧いてきました。

 私の専攻は看護学です。方々の学会、研修会に参加し発表などを聞いております中、質的研究熱の高まりを実感しております。私はこれを好ましく考えております。西條先生のおっしゃるように、質的研究の結果は現場実践者に視点を提示し、問題や現象を理解することを助けます。このことは実践の工夫や改善をも可能にし、ひいては患者様の回復や健康増進に寄与いたします。
 しかし問題も多々感じています。例えば、Research Questionをたてることなくインタビューやグループインタビューを行い、結果が提示されているよう発表や論文を見かけます。何を問題にし、どういうResearch Questionをたてるかでインタビュー内容や、抽出する内容は異なってくるはずなのですが、何故か分析結果と結論が出てきている、というような発表です。実際、ある研究会で、ある発表者は、インタビュー内容を発表した後、「このデータで、どういう研究をしたら良いと思いますか」と会場の人に質問していました。

 Research Problem と言う言葉や、これが意味する内容は比較的なじみがあるようですが、Research Questionと言う言葉は全く理解されていないようです。研究のスタート時点で、すぐに質問紙を作成し量的な結果をだすという研究を行う体勢が身についているからだと思います。多くのケースが、Research Questionを意識することなく調査に突入しているため、問いを立て研究を行っていく習慣が無いのだと思います。無意識に開始している、西条先生は、多くが量的研究に向く問いをたてているとおっしゃっていましたが、これと似たような意味だと思います。

 研究=量を明確にする、群に分け検定をする、多変量解析を行う、という風土があり、問いを立てず研究に突入する風土や慣習で生きる人たちが、インタビューや観察が研究になるということで、やはり問いを意識することなくインタビューをし、結果を出しています。恐ろしいことに、それでも結果は出てきます。

 今回のワークショップに参加した大きな収穫は、この点にあります。問いを立てる時点から、じっくり考え、ブレーンストーミングし、時間を割り当てること。当たり前のことなのですが、そう思われていません。

 質的研究は、徒弟制の中で伝承されている傾向があり、Masterの学生に自分のやり方を教えている先生がほとんどです。私もそうやって伝授されました。恩師はまともな先生で良かったと感謝している次第です。私自身、今後看護師の人に質的研究を教えていきたいと考えていました。少しずつやれたらいいのですが、現在はゼミ生に伝授するのみです。

 今回のワークショップで、Research Questionを立て展開し、解答を出す、これこそが研究であること、質的でも量的研究も同じこと、このことが最も印象に残った点です。[大学教員]



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 疲れましたが、大変楽しかった。その一言につきます。グループメンバーにも恵まれ、大変充実した時間を過すことができました。何かと細切れになった時間の中で過すことの多い職業生活において、一つのテーマについてあれだけの時間をかけ、それを1人ではなくグループで考え抜く時間が与えられていたことは、この上ない幸せだったように思えます。このワークショップを企画して下さった、西條先生、関西大学の皆さん、そしてグループメンバーをはじめ参加者の皆さまに感謝しています。

1人で質的研究をすることに違和感をもっていて、何となく足を踏み出せずにいました。しかし、今回のワークショップに参加して、やはり質的研究は共同研究の形をとるか、もしくは単独で研究する場合にはスーパーバイザーが必要だという結論にいたりました。グループでの議論やその議論に対する西條先生の助言を通じ、自分とは違う切り口で物事を捉えるスーパーバイザー、もしくは共同研究者が必要であることを痛感しました。


 質的研究方法において、もっとその研究プロセスで苦労するのが、カテゴリーを構造化する段階であることを体験できたことが、もっとも印象深く残っています。そして、その段階で同じ班の某先生が寝込んでおられましたことも併せて脳裏に焼き付いています(笑)。

また、構造構成主義とは、反・方法主義である方法論であり、その方法を求める仲間がこれだけたくさんいらっしゃるというのは、自分の立ち位置を確認する上でも安心できる材料となりそうです。

 また、特定の人間関係の中で仕事をする期間が長くなると、やはりマンネリは避けられません。そういう意味で、似通った悩みや興味・関心をもつ参加者と出会えて、新たな刺激を受けたことも、自分自身のリフレッシュにつながりました。ありがとうございました。[大学教員]



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 参加する前は、どのような様子なワークショップなのかよくわからず、期待半分・不安半分の参加でした。学生として,TAとして,講師としての私自身の経験から,今回のグループワークという形式がどのようなものになるのか不安を感じていたことに加え,これまでのさまざまな研究会に参加した経験から、少なくともいくつかの研究会では内輪のメンバーでとりおこなわれ、外部から参加する者は「よそ者扱い」で、非常に居心地のよくない経験をしたこともあったためです。

 今回のワークショップは、とてもアットホームな雰囲気で、先生や参加者のみなさんの温かい人柄に助けられ、いい学びの場となりました。4日間という限られた時間であったため、本格的な研究とまではいかないものの、研究の掘り起こしから発表までを簡単にざっと体験できる、ということも達成感につながり、よかったと思います。

 インタヴューしたことを概念化していく過程は思ったより難しく感じました。学術誌に掲載されている論文をみると、当然ながら分析から結果に至る部分はさらりと書いてあるのですが、やはり実際に概念を生み出していくことは簡単ではないなとあらためて感じました。こういった「生み出す」という作業は、日常的な生活経験が質も量も豊かでないと、なかなか難しいかもしれないと思いました。センスの有無といってしまえばそれまでなのかもしれませんが・・・。

 また、ワークショップの内容そのものとは関係ないですが、他領域で活躍されていらっしゃるみなさんの考え方に触れ、非常に多くのものを吸収した気がしています。

 またこういった機会があったら参加してみたいですし、単なる知識で終わらぬよう、今後自分の研究に取り入れられる部分は取り入れていきたいと思っています。ありがとうございました。
[大学院研究生・大学非常勤講師]



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 今回自分自身の中で非常によかったなあと感じたのは,研究の過程と発表の一端を,楽しく批評をもらいながら実践できたことでした。

 また,学術的に価値がどうこうという前に,“自分達がたてた問い”に対する研究結果が発表という形で完結したときは,文化祭や運動会の発表に似た小さな成功体験を感じさせられました。そのことによって,ああ質的研究とはこのようなものなのかなと実感するとともに,なにやら自分でもがんばれば研究が続けられるかも・・・と良い意味で自分にエールをおくることができました。  

 もちろん質的研究を低く見たり,学術的に価値のあるものが簡単にできるとは思っていません。むしろ奥の深さに感嘆させられたという感じです。すでに発表されている研究論文をそのような視点をもって再読してみるとまた違った意味でその深さやすごさを感じさせられました。

集中ワークショップにおける小さな経験は,それこそ西條先生の言われている“1事例における質的研究は視点提示型研究として意義がある”と同じように新たな視点を僕に提示したかもしれません。

 最も印象深かったことは、第1に,問いのたて方,概念やカテゴリー名のつけ方のコツなどです。第2に,モデル生成時に,つまった時は,ペーパーに鉛筆でサッとモデルを書いてみることです。

 厳密な作業手順を順次踏んでいけば自動的に答えに到達するという手続きだけを重視するのではなく,思い切りや直感によってたたき台モデルをつくって試行錯誤しながら前進することが印象的でした。量的な研究は方法論が確定するとあとは統計処理ですが,このあたりが質的研究の面白さなんだと実感しました。

 最後に,グループワークを通して多く人達と知り合いになれたことは何よりの宝物であることはいうまでもありません。先生をはじめ,受講者の皆様方に心より感謝申しあげます。[病院職員,理学療法士]



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 研究歴や立場そして分野も多岐にわたっているにもかかわらず、あまりそこにとらわれることがなかったワークショップだったと思います。このワークショップや質的研究についての必要最低限のポイントを先生が押さえて、それ以外のことは気になる人がいれば尋ねればいいという参加者中心のプログラム構成があったからこそ、それぞれが協力し合うことができたのだとおもいます。(大学院生)



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 さまざまな分野の方たちと1つの研究をするというのが、とても刺激的で楽しかったです。理論を作るのは大変でしたが、RQに照らして考えるということが身に付いたと思います。他の班の発表も興味深いものばかりで、新たな発見がたくさんあり、勉強になりました。[大学生]



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 質的研究のノウハウについては、大学院のゼミで多少習い、文献を探る程度でしたので、今回体験的な学習によって実際に体と頭を使って学べたことはとても意義深いものがありました。頭で、というより、体で覚えた感じです。また、それぞれのチームが個性的で、取り組み方も多少異なったりして面白かったです。笑いもたくさんありましたし。インタビューは今後実施する予定ですので、今回のワークショップで学んだことを生かしていきたいと思います。

 また分野は違いますが、研究を志す仲間とともに「あーでもない、こーでもない」とやりとりをしながら取り組めたことは、ふり返ってみると感慨深いものがあり、貴重な財産になりました。今後のエネルギーをたくさんいただくことができました。西條先生を目指して集まっただけあり、参加者の質が高く、刺激を受けました。[養護教員]



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 もちろん、質的研究法についての学習も大事ですが、何より一番の収穫は「横」の人間関係のつながりができたことだと思います。逆に言えば、質的研究は、グループワークの形式をとらないと難しいのではないかという不安もありました。ただ、質的研究の勘所を押さえられたという点はよかったと思います。概念を作るときの団結力はすさまじい勢いでできていったので、その点ではよかったと思います。[大学院生]



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 構造を構成するための一連の手続き(発表まで)を体験する機会はめったにないので、(しかも関西で開催されることはめったにないので)参加できてうれしかったです。また、さまざまな分野で仲間ができることは大きな励ましになります。これで2万円はお得だと思います。

 物理的にも精神的にも、ひとりで取り組むことが大変困難であるということを、あらためて理解できました。

 今まで授業分析をメインに行っていましたが、「こうでないとこの学会では通用しない」というものにかなり縛られていたのか、やたらコストパフォーマンスが高くつくようなやり方にこだわっていて、モチベーションが下がることもしばしばありました。西條先生から、リサーチクエスチョンに照らして適切な手法を選択することが妥当であるから、「正しい方法」というより「有効な方法」を追求すればよいということを伺って、少しやる気がでてきました。もう一度適切な方法を見直してみたほうがよいなと思いました。[NPO団体所属]



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 受講生はほとんど学生さんたちばかりだろうと思って申し込んだ(一から勉強するためにちょうど良い、と思い・・・)のですが、すでに研究実践を積んでいる方たちが多く、まずそのことにびっくりしました。

 経験者がワークショップの構成員の場合はえてして初学者の肩身が狭くなることも多いと思うのですが、今回は受講者全体が熱心で他者を排除する雰囲気はなく、むしろ今回は皆のその熱気がワークショップの良い雰囲気を支えていたように思います。「どんな人が来るかわからんしなぁ・・・」と受講前に重かった足取りも嘘のように、非常に楽しく充実した休日を送ることができました。西條先生はもちろんですが、グループの皆さん、受講者の皆さんに感謝、感謝です。

 様々な専門分野・興味をもっている臨床家や研究者の集まりで、自分の視点を広げる(狭さを再度見直す)機会となり、また、自分の物の見方を再認識することができました。臨床分野では、自分自身のコンプレックスを無くすためではなく気づいておく(引きずられないようにせめて知っておく)ために教育分析を受けることが多いのですが、質的研究でもそれに通じるような内容の重要性を指摘されており印象深く感じました。[大学教員]



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 合計4日間という短い日程の中で、グループ1つになって質的研究の基礎を体験できるのは、とても良かったと思います。精度やクオリティの高いリサーチクェッションから生きてくる関心相関性とSCQRMという手法は勉強になりました。[大学院生]



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 もう少しきつい内容を予想していましたが、思ったよりもゆっくりした流れで研究法を体験出来たので良かったです。初日は夜行バスで到着したので体はきつかったのですが、無理なく参加できました。前半が終わった後、久しぶりに脳がものすごく疲れているのを感じられて気持ちよかったです。後半は、順調に進んでいたこともあって終始リラックスして(気を抜いて?)いました。

 関西大学の皆さんの気持ちの良い笑顔のサポートが、不便を相殺してくださいました。ありがとうございました。

 一番印象的だったのは、西條先生がタフだったことです。長時間疲れも見せずに講義を進め、各班の進捗に合わせて議論にコメントし、迷っている方向性を導き、できるだけ全員が「質的研究法」に近づけるように配慮されている姿勢が一番勉強になりました。

 内容に関することでは、GTA、MGTAの概略が学べて良かったです。4月に大学院に入って質的研究法を学び始めたところですが、本だけではわからなかった部分が明確になり、今後使っていけるのではないかと思えました。また私が考えていたGTAの理解がそれほど間違っていなかったことも確認できました。

 SCQRMに関しては、まだ学びの緒についたところなので何とも言えませんが、自分にとっては比較的なじみのある考え方なので、それほど難しく感じるところはありませんでした。後は自分のものとして説明できるだけの理解を手にできるかだと思いますが、それはこれからの勉強次第だと思っています。[大学院生]



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 これまでGTAを学んだことがあったが、どこか釈然としなかった。今回、WSに参加して、SCQRMを学び、体験することで理論の整然さに驚き、しっくりとくることができた。それのみならず、質的研究の楽しさも味わうことができた。ぜひ自分の研究に活用したいと思う。

 また、研究のみならず考え方の枠組みを新たに得たようで言い知れぬ喜びも感じることができた。さらには普段接することが少ない他分野の方々と共に学び話すことで非常に楽しくWSを進めることができたと思う。今後の自分のリソースを多くかつ深く得ることができた。

 量的研究も質的研究も同じ構造構成主義のもと科学的に説明ができる点が非常に面白いと感じた。[医師・大学院生]



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 何となくわかっていること」を質的研究のフィルターを通して明確にしていくプロセスを経験し、質的研究の醍醐味を体感できました。

 以前に質的研究の論文を書いたことがあったのですが、方法論に縛られて「これでいいだろうか。」と自問することが多かったように思います。今回、ワークショップに参加させて頂いて、認識論を明確に意識することで、方法論的な自由度がかなり高くなり、研究を楽しんで行えそうな気がしてきました。

 質的研究に限らずなのかもしれませんが、リサーチ・クエステョンをいかに立てることができるかによって、その後の展開に大きな影響を与えることを学ぶことができました。



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 普段、一人でテキストデータと向き合い分析をしているので、他者と共同作業をしながらそれをすることに新鮮味を感じた。一番の醍醐味は、分析結果ではなく、グループメンバーとの議論だったように思う。議論を重ねることによって、アイデアが昇華していく様をメンバーと共有した時間は、かけがえのないものであった。また、西條先生も各グループと適度な距離を保ちながらも、困ったときには常に的確なアドバイスを下さり、大変参考になった。

 上記した、グループメンバーとの議論は一番印象に残った経験であるが、他に感じたことと言えば、グループメンバーが実施したインタビューと自分が実施したインタビューでは、同じテーマ、質問でもこんなに違うものかと驚いたこと。インタビューでは、対象者と調査者の間に微妙なかけひきが繰り広げられることがある。その際、それぞれの調査者の「持っていき方」、「つっこみ方」が異なると、同じ質問で聞いたとしても全く質の異なったデータになったような気がした。改めて、コトバって何だろうと考えた。[大学院生・大学非常勤講師]



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 事前に講義テキストを自分で学んだ上に、実際の研究の流れを演習を通して説明して下さったため、とても理解しやすかったです。特に、これまで経験したことの無い事項(インタビューガイド作成、インタビュアー体験、概念の抽出、構造図作り)を実践しながら学べたのが、印象強く、大変いい学びになりました。また、先生からご提供頂いた、発表用のパワーポイントもとてもわかりやすく、今後の自分の研究発表用の参考になる貴重な資料となり、感謝しております。

 質的研究の手法を学ぶ際は、経験豊富でしかも理論的なスーパーバイザーの存在が不可欠であると常々考えておりましたが、今回はそのような先生が、適宜助言を加えながら丁寧に指導して下さっていたので、大変有意義な時間を過ごせたと喜んでおります。

 同じグループに入ったメンバーのバックグラウンドがそれぞれ異なり、多様な意見が出ていました。普段の生活や自分の体験、学習だけではなかなか出ない発想も数多く得られ、そこから受ける刺激が沢山あったので、質的研究を今後行っていく上でのいい経験になったし、励みにもなりました。[大学教員]



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 わたしは研究者ではないのですが、SCQRMの本を以前から読ませていただいていて、こういった授業を実際に受けてみたいと思って参加しました。初学者も対象にしているとのことでしたが、自分がついていけるのか、他の方たちと一緒に研究を進めることができるか、参加前からとても不安でした。

 ワークショップが始まってみると、そこには いろいろな世代の、様々な立場の方が参加されていて、皆さんに共通して感じられたのが「学ぶ」ということに対する、とてもポジティブな姿勢でした。気がつくとワークショップを楽しんでいる自分がいました。そういった方々と一緒のグループで研究に取り組んでいくのは、とても楽しく、実り多く、他ではまずありえないだろうと思えるほどに充実した経験でした。
 志のある方たちと過ごす、愉しい学問の時間でした。

 社会人になってから、純粋に「学ぶ」ということを、こんなに必死に(笑)4日間朝から晩まで続けたことはないように思います。そしてそれがこんなに楽しいことだとは、参加前には想像もしていませんでした。普段はの生活ではまず経験できないような、貴重な時間だったと思います。

 SCQRMの本に書いてある内容以上に、実際の講義には目からうろこな内容が盛り込まれていて、質的研究法を学ぶだけではなく、日常にも役立つようなお話もたくさんお伺いできたことも、とても良かったと思います。
 またこのワークショップに参加するまでは、質的研究がどういうものなのか、よくわかりませんでした。ワークショップ前に、質的研究の本をいろいろ読んでみて、質的研究って、そのコトバを語っている人のストーリーを見つけることなのかな?って思っていました。

 4日間、コトバについて、そしてそのコトバが出てくる意味について、ひたすら考える作業はとても楽しかったです。それは私たちが普通の生活でもしている、人の気持ちを思いやるということと似ていて、質的研究っていうと難しい感じだけれど、生活の延長線上にあるものなのだなあって感じました。

また、質的研究のメソッドを教わることを通して、"より開かれた心を持って、自分を取りまく世界と柔軟に接していく方法"を教えていただいたような気がします。このワークショップ自体が、とても"質的"に充実したものだと思いましたが、その価値をどこに発見するかはきっと自分次第で、それはそのまま、物事に意味を見出していく、質的研究のありようと似ているのではないかと思いました。[大学事務職]



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 「質的研究に挑戦してみたい。本を読んでいる分にはできそうだけど、実際にやってみたらなかなかできひんのやろうな」そのような印象をもって、行動を起こさずにそのままになってしまっていたとき、偶然、見つけたワークショップの募集のお知らせ。直感的に事務局にメールを出して、受講料を振り込んで… 当日までにはとにかくテキストを読むことを自分に課し、質的研究にかんしてはテキストの情報以外はまったくないといっても過言ではない状態で望んだワークショップ。

 ふたを開けると、大学の教員の方までいらして、場違いな空気に飲み込まれそうになりました(実際、飲み込まれていました)が、西條先生のお人柄や独特の空気感も手伝って、非常に和やかな雰囲気のなか、教員も学生もほとんど関係なく、普段専攻しているテーマも分野すらもまったく違う参加者のみなさんと一緒に悩み、考え、実践できたことはなにものにも変えがたい貴重な経験となりました。

 実際に経験してみること、挑戦してみることの大切さ。自らの仮説にとらわれすぎない多角的な視点をもつこと。そして、何事も関心相関的に考えるということ。それにつきるように思います。[大学院生・社会人]




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